なぜ“聞く力”が中小企業の未来を変えるのか
今回のお話は、
「売れている営業マンほど、お客さまをよく知っている」
ということについてです。
できる営業マンというと、
- 商品説明をする
- 提案をする
- 売り込む
がとても上手だというイメージがあるかもしれません。

しかし実際は、
成果を出している営業マンほど、
“聴く”
ことを大切にしています。
なぜなら、
経営のヒントは、
お客さまの中にあるからです。
それでは詳しくご紹介します。
目次
「営業は、とにかくしゃべれ」と教えてきた
以前、岐阜県のある商社で、
営業支援の研修講師を担当させていただいた時のことです。
研修が終わったあと、
ひとりのベテラン営業マンの方が、
わざわざ私のところへ来てくださいました。
年齢的にも、
おそらく営業幹部の方だったと思います。
その方が、
少し考え込むように、こうおっしゃったのです。
「佐藤先生、俺はな、営業は“しゃべれ”やと思ってたんです」
「お客の前に行ったら、とにかく話せ。説明しろ。提案しろって、ずっと部下にも言うてきたんです」
「今もそうやと思ってました」
そして少し間を置いて、
「でも今日の話聞いて、それは違うんやなって分かりました」
とおっしゃいました。
私は、その言葉がとても印象に残っています。
これは多くの現場で起きていることだからです。
営業とは、
- 上手に話すこと
- 商品説明すること
- 提案すること
そう思われがちです。
しかし実際には、
成果を出している営業マンほど、
お客さまの話を“聴いて”います。
お客さま自身も気づいていない課題や変化は、
話を聞かなければ見えてこないからです。
経営で最も価値がある情報とは何か?
ランチェスター戦略では、
「経営の目的は、お客づくり」
と定義しています。
つまり、
お客さまから選ばれることが、
経営の原点です。
では、
選ばれるために何が必要なのか。
それが、
「お客さまを知ること」
です。
私は、経営で最も価値がある情報は、
“お客さま情報”です。
そこに、
- ニーズ
- 不満
- 変化
- 未来
が隠れているからです。
例えば、今まで順調だった業界でも、
- 人手不足
- 原材料高騰
- 技術の承継
- 後継者の育成
- 社員の高齢化
など、
次々に変化が起きています。
その変化を、一番早く感じているのは、
現場のお客さまです。
だから、お客さまを観察し、話を聞くことが、
戦略につながっていくのです。
売れている営業マンほど「お客のこと」を記録している
以前、
保険営業でトップクラスの成績を出している方の
ノートを見せてもらったことがあります。
そこに書いてあるのは、
“お客さまのこと”ばかりでした。
- 若い社員を昇格したこと
- 展示会に出展する計画
- 工場移転を考えていること
- 新しい設備を検討していること
- 後継者の育成のこと
そんなことばかり。
逆に、売れていない営業マンほど、
- 今日何件回ったと日報レベルの記録
- いくら売ったという報告レベル
と、自分のことばかり書いている。
つまり、
成果を出している人ほど、
“相手に関心を持っている”のです。
「困っていることありますか?」では、本音は見えない
ここで大切なのが、
“質問の仕方”
です。
営業マンがお客さまのところへ行って、
「何か困ってることありますか?」
と聞くことがあります。
でも実際、この質問では、なかなか本音は出てきません。
なぜなら、お客さま自身も、課題を整理できていないことが多いからです。
だから、もっと具体的に聞く必要があります。
例えば、
「最近、人の採用どうですか?」
「若い人、定着してますか?」
「先週は、現場でトラブル起きていませんでしたか?」
「最近、急ぎ案件増えてません?」
そんなふうに、具体的に聞く。
すると、「実は最近な…」と、本音が出始める。
つまり、質問によって、見える世界が変わるのです。
お客さまは、常に変化している
経営で怖いのは、
「昔のまま、お客を見てしまうこと」
です。
10年前と今では、
お客さまは大きく変わっています。
例えば、
- 若い社員が入ってきた
- SNSを見るようになった
- 動画で情報収集するようになった
- 価格より“安心”を重視するようになった
など、価値観も変わっている。
でも、こちら側が変わっていないと、
その変化に気づけない。
だから、定期的に会い、
話を聞き、観察する必要があるのです。
私はこれを、
“現場観察営業”
と言っています。
お客さまを、継続的に見る。
すると、小さな変化に気づけるようになります。
「売る営業」より、「寄り添う営業」が選ばれる時代

今は、
商品だけでは差別化しにくい時代です。
だからこそ、
最後に選ばれるのは、
「この人、うちのこと分かってくれてるな」
という信頼です。
つまり、
“売る”
より、
“理解する”
方が大切になってきている。
実際、
お客さまは、
自分を理解してくれる人を選びます。
価格だけではありません。
技術だけでもありません。
「ちゃんと話を聞いてくれる」
これが、
非常に大きな価値になっているのです。
お客を知る会社ほど、戦略が見えてくる
私は、
戦略とは、
机の上で考えるものではなく、
“お客さまの中から見えてくるもの”
だと思っています。
だからこそ、
- お客を観察する
- 話を聞く
- 記録する
- 分析する
この積み重ねが重要になる。
すると、
「お客は何を求めているのか」
「どんな未来をつくりたいのか」
そして「私達が選ばれている理由」
が、だんだん見えてくる。
つまり、お客を知ることで、
自社の戦略が見えてくるのです。
今回お話した内容は、
あきない実践道場 第4講「業界客層戦略」でお伝えしている内容の一部です。
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投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。


