私がサポーター専門店で学んだランチェスター営業戦略の本質
前回のブログでは、
営業は「話し方」よりも「聞き方」が大切であることをお伝えしました。
お客さまの話を聞き、課題を知る。
営業の出発点はそこにあります。
では、お客さまのことを理解したその先に、営業担当者は何を伝えればよいのでしょうか。
今回は、その「伝える力」についてお話ししたいと思います。
それでは詳しくご紹介します。
目次
お客さまは価格だけで選んでいるのでしょうか
私は数年前、スキーで膝の靭帯を痛めました。
現在も筋力トレーニングを続けながら膝を守っていますが、
サポーターを新しく購入しようと思い、専門店へ行きました。

インターネットでも探しました。
価格も比較しました。
口コミも読みました。
しかし、本当に自分に合うものは分かりませんでした。
そこで、大阪にあるサポーター専門店を訪ねました。
専門家は商品より先に、私の話を聞いてくれました
担当してくださった方は、すぐに商品を勧めることはありませんでした。
まず私の話をじっくり聞いてくださいました。
「どのようなケガをされたのですか。」
「どんな時に痛みますか。」
「どのような場面で使われますか。」
「お医者さんからは何と言われていますか。」
一つひとつ丁寧に質問してくださいました。
そして、
「佐藤さんでしたら、まずはこちらを試してみましょう。」
そう言って、二種類のサポーターを持ってきてくださいました。
実際に装着し、歩いてみます。
「歩き方が変わりましたね。」
そう言われながら、もう一つの商品も試しました。
私は、その違いを体感しました。
そして、
「これをお願いします。」
と購入しました。
価格は二万円を超えていました。
しかし、
「もう少し安くなりませんか。」
とは、一度も思いませんでした。
値引きをお願いしようとは思いませんでした
なぜでしょうか。
それは、
私に合った商品を勧めてもらったからです。
私が買ったのは、
サポーターではありません。
安心でした。
専門家としての提案でした。
そして、
自分に合った価値でした。
だから価格ではなく、
価値で選んだのです。
同じフロアで感じた、もう一つのお店との違い
その帰り道、
同じフロアにある靴売場にも立ち寄りました。
膝に負担の少ない靴を探していたからです。
店員さんに相談しました。
しかし返ってきたのは、
サイズや商品の説明だけでした。
私が何に困っているのか。
どんな目的で探しているのか。
そこには、あまり関心が感じられませんでした。
結局、自分で選んで購入しました。
私はそのお店へもう一度行くことはあるだろうか?
商品ではなく、「価値」が選ばれていました
この二つのお店の違いは何だったのでしょうか。
私は帰り道に考えました。
商品の違いではありません。
価格でもありません。
違ったのは、
専門家として私の課題を理解し、
その課題に合った価値を伝えてくださったことでした。
営業は、
商品を説明する仕事ではありません。
お客さまが抱える課題を理解し、
その課題を解決する価値を伝える仕事です。
価値が伝われば、
価格だけで比較されることは少なくなります。
反対に、
価値が伝わらなければ、
どれほど良い商品やサービスでも価格で比較されてしまいます。
ランチェスター戦略は差別化すること
ランチェスター戦略では、
弱者は価格競争をしてはいけないと考えます。
大切なのは、差別化です。
しかし、差別化とは、
奇をてらった商品をつくることでも、
目新しいサービスを始めることでもありません。
まずは、誰のお役に立つのかを決めることです。
ランチェスター戦略では、これを客層を決めると言います。
そして、目の前のひとりのお客さまの話をじっくり聞きます。
いま困っていること。
これから実現したいこと。
将来どのような会社にしたいのか。
どんな想いで仕事をされているのか。
その声に耳を傾け、徹底して寄り添っていきます。
すべてのお客さまに好かれようとするのではありません。
目の前のひとりのお客さまのお役に立つことを考え続けるのです。
その積み重ねによって、
お客さまは、
「この会社だからお願いしたい。」
そう思ってくださるようになります。
私は、それこそがランチェスター戦略でいう差別化だと考えています。
営業担当者が商品を売るのではありません。
目の前のお客さまを深く理解し、
そのお客さまに合った価値を届けることです。
そして、その価値を自分の言葉で伝えられること。
その積み重ねが、
価格ではなく価値で選ばれる会社をつくります。
そのためには、
誰に(客層)、何を(商品・サービス)、どの地域で届けるのか。
この三つを明確にすることが大切です。
ランチェスター戦略は、この三大戦略を決めることから始まります。
営業担当者が伝えるのは「会社の価値」です
ある自動車メーカーで営業研修を行った際も、この体験をお話ししました。
営業担当者は、
毎日お客さまと接しています。
つまり、
会社の価値を一番多く伝えている存在です。
ところが、
「私たちの会社は、なぜ選ばれているのでしょうか。」
この問いに対して、
営業担当者によって答えが違う会社も少なくありません。
これでは、
お客さまへ伝わる価値もばらばらになってしまいます。
だから私は、
営業教育とは、
商品知識を教えることではないと思っています。
会社の価値を、自分の言葉で伝えられる人を育てること。
それが営業教育の本質ではないでしょうか。
まとめ
価格競争から抜け出す会社は、
営業担当者に値引きの方法を教えている会社ではありません。
会社の価値を理解し、
その価値を自分の言葉で伝えられる営業担当者を育てています。
私は研修でも、
知識だけをお伝えするのではなく、
実際に体験した出来事を通して学んでいただくことを大切にしています。
体験には説得力があります。
そして、その体験から得た気づきは、営業担当者の行動を変えます。
営業教育とは、
営業技術を教えることではありません。
会社の価値を、自分の言葉で語れる人を育てること。
その積み重ねが、お客さまから選ばれ続ける会社をつくるのだと、私は考えています。
あなたの会社では、
営業担当者全員が、
「私たちの会社は、なぜお客さまに選ばれているのか。」
この問いに、自分の言葉で答えられるでしょうか。
ぜひ一度、営業会議や研修の場で話し合ってみてください。
営業担当者が会社の価値を言葉にできるようになることは、
価格競争から抜け出す第一歩になります
投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。



