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一人のお客さまの課題を解決することが、専門性を高める
前回のブログの第2話では、
営業は話す仕事ではなく、お客さまの話を聞く仕事であることをお伝えしました。
営業担当者が一方的に商品を説明しても、お客さまが何に困っているのかは分かりません。
まず質問をする。
そして、お客さまの話をじっくり聞く。
その対話から、お客さまが抱えている悩みや不安、これから実現したいことが見えてきます。
では、お客さまの話を聞いた後、営業担当者は何をすればよいのでしょうか。
話を聞くだけでは、お客さまの課題は解決しません。
聞いた内容から課題を整理し、解決方法を考え、
そのお客さまに合った提案へつなげる必要があります。
私は、営業担当者の仕事は商品を売ることではなく、
お客さまを知り、その課題を解決することにあると考えています。
そのことを強く感じたのが、大阪にあるサポーター専門店を訪れた時の体験でした。
それでは詳しくご紹介します。
インターネットで調べても、自分に合うものは分かりませんでした
膝に痛みを感じるようになり、私はサポーターを探していました。
まず、インターネットで商品を探しました。
価格も比較しました。
口コミも読みました。
さまざまな商品を見ているうちに、機能や価格の違いは少しずつ分かってきました。
しかし、肝心なことが分かりません。
自分の膝の状態には、どのサポーターが合っているのか。
商品について調べることはできても、自分の課題に合う商品までは判断できなかったのです。
そこで私は、大阪にあるサポーター専門店を訪ねました。
専門家は、商品より先に私の話を聞いてくれました
お店に入っても、すぐに商品を勧められることはありませんでした。
スタッフの方は、まず私にこう尋ねられました。
「どこが痛いのですか」
「いつ頃からですか」
「歩く時に痛みますか」
「階段の上り下りはどうですか」
「何かスポーツをされていますか」
さらに、私の歩き方や姿勢まで丁寧に確認してくださいました。
そして、痛みの状態を一緒に考えながら、私に合ったサポーターを提案してくださいました。
私は、この対応にとても感動しました。
その方は、サポーターを売ろうとしていたのではありません。
私が何に困っているのかを知り、その困りごとを解決しようとしてくださっていたのです。
もし商品説明だけの販売であれば、
「こちらが人気です」
「今、一番売れています」
「この商品がおすすめです」
という説明で終わっていたかもしれません。
しかし、こちらの専門店は違いました。
目の前の一人のお客さまと向き合い、その人の状態に合った解決策を考えていました。
私は、ここに専門家として選ばれる理由があると感じました。
同じフロアの靴売場で感じた違い
サポーター専門店を出た後、同じフロアにある靴売場にも立ち寄りました。
膝への負担が少ない靴も探したいと思ったからです。
私は店員さんに相談しました。
しかし、返ってきたのは、サイズや商品の機能についての説明が中心でした。
私がどこに痛みを感じているのか。
どのような場面で困っているのか。
何を目的に靴を探しているのか。
そうしたことを詳しく聞かれることはありませんでした。
最終的には、自分で商品を選び、購入しました。
もちろん、靴についての商品知識は豊富だったと思います。
ただ、サポーター専門店で感じた安心感とは違っていました。
この二つのお店の違いは、何だったのでしょうか。
商品の数ではありません。
価格の違いでもありません。
サポーター専門店の方は、私の課題を理解し、その課題に合った商品を提案してくださいました。
一方、靴売場では、商品についての説明が中心でした。
この違いは、とても大きいと感じました。
お客さまが求めているのは、商品知識だけではありません。
「自分のことを分かってくれる人に相談したい」
という安心感も求めているのではないでしょうか。
ランチェスター戦略でいう「接近戦」
ランチェスター戦略では、弱者は接近戦を重視します。
接近戦とは、単にお客さまの近くへ行くことではありません。
お客さまと直接対話し、
何に困っているのか。
何を不安に感じているのか。
これから何を実現したいのか。
その声を、本人から直接聞くことです。
インターネットで調べた情報でもありません。
誰かから聞いた話でもありません。
目の前のお客さまの声に耳を傾けます。
その対話の中に、本当の課題があります。
営業担当者の仕事は、商品の説明から始まるのではありません。
顧客を知ることから始まります。
お客さまのことを知らなければ、どれほど詳しく商品を説明しても、その人に合った提案にはなりません。
接近戦とは、お客さま一人ひとりと向き合い、相手を深く理解する営業でもあるのです。
一人のお客さまが、専門性を育ててくれます
私は、専門家であるかどうかは、知識の量だけで決まるものではないと思っています。
目の前のお客さまが何に困っているのかを理解し、その人に合った解決策を考え、提案できることが大切です。
一人のお客さまの困りごとに真剣に向き合う。
話を聞く。
課題を整理する。
解決方法を考える。
提案する。
その後の結果も確認する。
この積み重ねが、営業担当者の専門性を高めていきます。
そして、一人のお客さまの課題を解決した経験は、同じような課題を持つ別のお客さまのお役に立ちます。
やがて、
「このことなら、あの人に相談したい」
「この会社なら、私たちの悩みを理解してくれそうだ」
と選ばれるようになります。
一人のお客さまを徹底して課題解決する。
その経験を積み重ねることで、特定の課題に強い専門家としての立ち位置が生まれます。
私は、この積み重ねが、特定分野で一位を目指すランチェスター戦略の実践につながると考えています。
すべてのことに詳しくなる必要はありません。
自社が選んだ分野で、お客さまの課題を深く知り、解決の経験を重ねていく。
その専門性が、同じ課題を持つお客さまから選ばれる理由になります。
営業担当者の仕事は「顧客を知る」ことです
営業担当者は、日々お客さまと接しています。
会社の中で、お客さまの声を最も直接聞くことができる立場です。
そのため、営業担当者には大切な役割があります。
それは、
お客さまが何に困っているのか。
何を不安に感じているのか。
どのような状態を実現したいのか。
これらを深く知ることです。
営業教育というと、商品知識や説明方法を教えることが中心になりがちです。
しかし、商品知識が豊富でも、お客さまの課題を理解できなければ、
適切な提案にはつながりません。
営業担当者に必要なのは、
お客さまの話を聞く力。
課題を見つける力。
解決方法を考える力。
その人の状況に合った提案をする力です。
お客さま一人ひとりと真剣に向き合うことで、会社には課題解決の経験が蓄積されていきます。
その経験が自社の専門性となり、同じ課題を持つお客さまから選ばれる理由になります。
営業教育とは、課題を解決できる人を育てることです
営業担当者へ教えるべきことは、商品知識だけではありません。
まず取り組みたいのは、お客さまを知る力を育てることです。
お客さまの話を聞く。
課題を理解する。
解決方法を考える。
お客さまの状況に合わせて提案する。
営業とは、商品を売る仕事ではありません。
お客さまの課題を解決する仕事です。
一人のお客さまの課題に真剣に向き合うことが、営業担当者の専門性を高めます。
そして、その経験が社内に蓄積されることで、会社も特定分野の専門家として選ばれるようになります。
私は、営業教育とは売り方を教えることではなく、お客さまの課題を解決できる人を育てることだと考えています。
毎朝の朝礼で顧客の声を集める会議が有効です
次回の営業会議では、最近お客さまから聞いた困りごとを、一人ひとり発表してみてください。
その際、商品や売上の話から始めるのではなく、次の三つを確認します。
- お客さまは何に困っていたのか
- その課題の背景には何があったのか
- 自社はどのような解決策を提案できるのか
一人のお客さまの課題を社内で共有し、
解決方法を考えることから、営業担当者の専門性を高める教育が始まります。
専門性があっても、その価値がお客さまへ伝わらなければ、選ばれる理由にはなりません。
次回は、「ローマで2位のマルゲリータ」を注文しなかった体験から、
商品の価値を言葉とストーリーで伝えることの大切さについてお話しします。
場当たり的な営業から抜け出したい方へ
変化の速い今、営業の原理原則は変わりません。
しかし、成果に至るまでの道筋は一つではなくなりました。
結果が出ていなくても、本人なりに努力していることがあります。
そこを理解せず、これまでの成功体験だけで指導すると、
本人を追い詰め、場合によってはハラスメントと
受け取られることもあります。
また、営業担当者から上がってくる報告は、
お客さまの言葉そのものとは限りません。
聞いた人の知識、経験、能力、性格によって解釈が加わります。
そのため経営者は、報告だけで顧客を判断せず、
事実と解釈を分けて整理する仕組みを持つ必要があります。
誰から、何を、どのように聞き、どんな基準で課題を整理し、
次の提案につなげるのか。
自社に合った営業の型を一緒に模索し、現場で使える仕組みへ整えていきます。
場当たり的な営業から抜け出したい社長、
投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。



