今回は、お客さまに選ばれ繁盛店になるための秘訣と、小さな洋菓子店のスタッフが実践した顧客対応力向上の成功事例をお伝えします。

目次
繁盛店へのステップ
より多くのお客さまから選ばれ喜ばれるお店づくりをするためには、スタッフの顧客対応力のレベルを高めることが優先度の高い取り組みとなります。
この顧客対応力のレベルを高めるのに特別な資金は必要なく、今のスタッフで即実行できるので小さなお店は、まず顧客対応力のレベルを高めることから始めるといいでしょう。
お店でお客様と接触する頻度が1番高いのがスタッフです。スタッフと一緒に「どうすれば、よりお客様に喜ばれるお店作りができるのか?」と意見を集めて取り組むことが成果につながります。
しかし「お客様に喜んでもらうために何かよいアイデアはありませんか?」といきなりスタッフに意見を求めても、すぐに考えを話すことはとても難しいモノです。
事前に目的とテーマを決めて、スタッフにじっくり考える時間を与えることで、より良いアイデアや考えを引き出すことができるのです。
では、ここで良い取り組みの事例があるので紹介しましょう。
大阪市平野区にあるパティストリー・ガレットさんでは、「小さなお店 繁盛店の法則」を活用して業績が伸びています。
※小さなお店 繁盛店の法則は、佐藤が株式会社ヘッズ様よりご依頼いただき執筆した全20回のコラムです。
チラシをやめて、ディスカウントもしない。
しかし業績が伸びているのです。
一体どのように活用し、成果を出しているのでしょうか?
取材に伺うと、オーナーシェフの久保さんは、「ずっと自分(お店)が喜ぶことを考えて、取り組んできました。だから業績がよくならなかったのだと思います。
繁盛店の法則を読むと、経営の目的は、『お客様づくりである。お客さまが喜ぶことを考え実行することでお客さまに選んでもらえるお店になる』と私の考えと真逆のことが書いてありました。信じてやってみて、ダメならまた考えればいい。この通りやろうと思いました。また、私たちと同じような規模のお店の事例と課題が書かれているのでスタッフもイメージしやすいと感じました」
と繁盛店の法則に取り組んだきっかけを話してくれました。

お客さま対応で1番になる!
久保さんは、最初に繁盛店の法則をスタッフみんなに回覧して読んでもらうことから始めました。
繁盛店の法則は、毎回1つのテーマで事例を交えて課題解決の方法が書かれています。
事例にスタッフに読んでもらっておくことで、何をどのようにすればいいのか?がイメージしやすいと考えました。

そして最後のページにある課題のワークシートを印刷して「これ、次回の会議までに考えてみてくださいね」とスタッフに配りました。

数日後、あるスタッフが「こうすればもっとお客さまが喜んでくれると思うのです」とワークシートを見せてくれました。
ワークシートには、びっくりするほどたくさんの意見やアイデアが書いてありました。
私はスタッフが考えたアイデアを次々と積極的に採用しました。

次の機会には、こんなことがありました。
繁盛店の法則は、「お客さまに不便をかけない」というテーマでした。
私はワークシートをガレット仕様に作り替え、「テーマの各項目に、あなたの体験やアイデアや考えなどを書いて提出してください」と会議の2週間前に手渡しました。
ワークシートは3つの項目に絞りました。
①「今まで、どこかへ買い物に行ったとき、イヤな思いをしたことを挙げてください」という項目には自分自身がお客さまの立場になって体験したことを書いてもらうように伝えました。
②ガレットでお客さまに不便を掛けていること、また、イヤな思いをさせてしまっていることを挙げてください。
③上記②の改善方法、対策で思いつくものがあれば、挙げてください。
上記①の「今まで、どこかへ買い物に行ったとき、イヤな思いをしたことを挙げてください」という項目には自分自身がお客さまの立場になって体験したことを書いてもらうように伝えました。

すると・・・
「レストラン」「笑顔なし」「やる気なし感が伝わってくる」「欠品がっかり」「店がきたない」
など感じたことを書いてくれました。

次に「ガレットお客さまに不便を掛けていること、また、イヤな思いをさせてしまっていることを挙げてください」とお客さまの視点でガレットを観察してもらったのです。
するとこんな意見も出てきました。

・ポイントカードに消費税分がつかない
・親人の子のフォローができていない
・欠品や接客などの問題
どんなことでお客さまにイヤな思いをさせているのか、次々と意見がでました。
最後に「上記②の改善方法、対策で思いつくものがあれば、挙げてください」と伝えると、

・気持ちの良い接客
・欠品しない
・ポイントカードに消費税分をつける!
など次々と意見が集まりました。
接客はお客さまと「とことんつきあう」
これまで「きちんと接客をしましょう」と話し方や対応など基本的なことは伝えてきました。
しかしそれはカタチだけで、本当にお客さまが「喜んでくれている?」という視点がスタッフにも私にもありませんでした。
みんなの意見もあり、接客はお客さまと「とことんつきあう」ように考え、取り組みを始めました。
スタッフは余裕ができると、カウンターから飛び出して、お客さまとおしゃべりしたり、店の外までお見送りに出て、立ち話など始めました。
お客さまが喜んでくれて、笑顔になって帰られるのが実感できました。
スタッフにとっても「私のお客さまができた」という感覚が芽生えたようです。
これってお客さまは喜んでくれてる?
このキーワードは、何のために接客しているのか?という目的と一歩先、二歩先を考える行動に繋がっています。
「この取り組みを始めて数か月ほどすると、お店の来客数は増えていました。またスタッフがやる気を出して働いてくれるようになりました」
と、久保さんは手応えを感じたといいます。
私は久保さんの取り組みに興味を持ちました。
この取り組みは、お客さまが喜んで、スタッフが成長して、お店も儲かる仕組みです。
まさに繁盛店へのステップです。

「パティスリー・ガレット」明るく元気なこのお店は、地域で愛され続ける洋菓子店です。
では、ガレットさんの繁盛店へのステップをまとめてみましょう。
①スタッフ全員で繁盛店の法則を回覧する。・・・(目的テーマの共有)
②ワークシートに考えやアイデアを書いてもらう。・・・(課題を明確にする)
③1週間後、ワークシートを回収する。・・・(意見を集める)
④各スタッフのワークシートを1つにまとめる。・・・(集約する)
⑤みんなで話し合い優先順位の高いものを選ぶ。
⑥お客さまが喜ぶことを実行する。
⑦振り返る。
・「ガレットさん繁盛店へのステップ」を参考に、あなたのお店でやってみようと思ったことを3つあげてください。優先順位の高い順に期限を設けて取り組んでみましょう!
お客さま視点で考え、実行して、ファンを増やす!
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投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。