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佐藤元相のオフィシャルブログ

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤 元相

1日15分の種まきが安定受注に繋がる秘訣 ― アナログな一手間が未来を変える

「紹介がない」
「リピートが続かない」
「価格ばかりで比較されてしまう」
「せっかく新規で取引したのに、長続きしない」

こうした声を、現場の経営者や営業の方々からよく耳にします。
努力して新規顧客しても、新規活動だけに頼ったビジネスでは、業績は安定しません。
このような悩みを根本から変えるカギは、「既存顧客との関係性」にあります。

では、どうすればお客さまとの関係性を深めることができるのでしょうか?
その答えは、「アナログな対応」にあります。


デジタルでは届かない、「人の温度」

現在、多くの企業がメールやチャット、Webなどのデジタルツールを活用し、効率的にお客さまとやり取りをしています。もちろん、それは便利ですし必要なことです。
しかし、「関係性」を深めるという点においては、デジタルだけでは限界があるのです。

ハーバード大学の調査では、3,731社を対象に、デジタルとアナログ施策が顧客満足度に与える影響を調べました。その結果、デジタル施策のみを使っている企業よりも、デジタルとアナログを組み合わせた企業の満足度が平均5.5ポイント高いことがわかりました。たとえば、デジタルだけの企業の満足度が70点だった場合、両方を使っている企業は約75.5点となります。

また、アナログ施策(紙の資料・郵送・対面対応など)は、特にBtoC(個人向け)ビジネスで効果が高く、約65%の企業が「信頼関係の構築に役立つ」と回答しました。一方、デジタル施策(メール・SNS・ウェブ広告など)は新規顧客の開拓に強く、約72%の企業が「効率的」と評価しています。

つまり、アナログは「関係づくり」、デジタルは「広く・早く伝える」ことに強みがあり、両方をバランスよく使うことが、満足度や売上の向上に直結するという結論が導かれました。

これは、「人と人とのつながり」こそが、満足や信頼につながるという証拠です。
メールでは届かない想いが、手書きの言葉や声のトーン、ちょっとした顔出しによって、確実に伝わるのです。


事例:手書きのはがきで関係性が劇的に変わった話

大阪平野区の東洋バレル技研は、受注が一社に偏り、価格競争にも悩んでいました。
そこで始めたのが、既存のお客さま一人ひとりに「手書きのはがき」を送る取り組みです。展示会のあと、商談のあと、納品のあと、請求書を送付するとき、すべてのタイミングで心を込めた一枚を届けました

東洋バレル技研 別所社長のプレゼン

さらに、スタッフの一人を内勤営業として任命し、内勤営業育成講座で学んでもらい、問い合わせ後のフォロー電話や、お礼状の送付も徹底していきました。
その結果、1年で顧客数は60社以上に増えて、安定した取引が実現し、一社依存からの脱却に成功したといいます。

社長の言葉が印象的でした。
先日、お客さまから“ありがとう”のはがきが届きました。想いが届いていると実感しました。また、現場で感謝の言葉をいただくたびに、自社の存在意義を感じられるようになった」と話していくれました。


戦略の視点から見る「お客さまづくり」

こうした取り組みは、感覚的に良いというだけではありません。実は、しっかりと戦略的な根拠もあるのです。

まず、ランチェスター戦略。この戦略では、小さな会社が勝つためには「差別化」と「接近戦」が必要だとされています。その中心にあるのが「お客づくり」。つまり、人と人との関係性をつくることが、事業の目的だとされているのです。

また、経営学の父と呼ばれるピーター・ドラッカー先生も、企業の目的を「顧客の創造」とはっきり定義しています。「利益は結果であり、目的ではない。まずはお客さまをつくること」と説いているのです。

さらに、現代マーケティングの巨人フィリップ・コトラー氏も、近年こう語っています。
「顧客の創造と、顧客の維持こそが、企業にとって最も重要な活動である」と。

つまり、歴代の名だたる経営コンサルタントたちが一貫して伝えているのは、
「お客さまとの関係をいかにつくり、いかに続けていくか」という本質なのです。


「フォローが新規」になる考え方

多くの企業が、新規顧客の獲得に多くの時間とお金をかけています。
しかし、その分だけ、すでに出会ったお客さまへのフォローが後回しになっているのが現実です。

実は、既存のお客さまへのフォローは、新規をつくる行為でもあるのです。

・リピートにつながる
・紹介をもらえる
・信頼されることで価格競争を避けられる

こうした効果はすべて、継続的な「関係性」から生まれます。お客さまから好かれて、気に入られて、喜ばれて、忘れられないようにする活動が大事な取り組みです。
つまり、「フォローとは、新規開拓にも勝る営業活動」なのです。


投資は大きくなくていい。1日15〜30分でいい

「やった方がいいのは分かっているけど、時間がない」
そんな方も多いと思います。だからこそ、お伝えしたいのが、
「1日の3〜5%の時間」でいいということ。

1日8時間働いているなら、その3〜5%は15〜30分
その時間を「既存のお客さまとの関係づくり」に使うだけで、未来は大きく変わっていきます。

手書きのはがき、
一本のフォロー電話、
「ありがとう」と伝える一言です

その積み重ねが、リピートを生み、紹介を生み、価格ではなく信頼で選ばれる会社をつくります。


「人を大切にするから、人から大切にされる」

今回の実践道場でも、先ほどご紹介した東洋バレル技研別所社長は「人を大切にするから、人から大切にされる」という考え方を話してくれました。本質的な言葉だと感じました。

この言葉は、どんなビジネスにも通じる真理だと思います。
どれだけ技術や商品に自信があっても、それだけでは続かない。
最後に選ばれるのは、「この人にまたお願いしたい」と思ってもらえるかどうか。


この考え方は「あきない実践道場」で伝えています

ここまでお話しした内容は、私たちが取り組んでいる「あきない実践道場」でも、最初の学び(第1講 顧客維持戦略)としてお伝えしていることです。
道場では、ランチェスター戦略をベースに、小さな会社が自社の強みを活かし、利益性の高い事業をつくるための実践的な学びを行っています。

あきない実践道場36期第1講 顧客維持戦略

そのスタート地点にあるのが、「既存のお客さまとの関係づくり」。
事業の土台は、「信頼関係」から生まれると考えています。

どんな時代でも変わらないのは、「人と人とのつながり」です。
それを大切にし、日々の行動に落とし込んでいくことが、安定した受注と、持続可能な経営を生み出していくのです。


最後に

もし今、受注の不安定さや、リピート・紹介の少なさ、価格競争に疲れているなら、
今日からたった15分だけでも、「お客さまとの関係づくり」に時間を使ってみてください。

未来を変えるのは、大きな変革ではなく、小さな積み重ねです。
その第一歩として、真心のこもったアナログな行動が、あなたの会社を一歩前に進めてくれます。

あきない実践道場 37期はこちらでスケジュール確認できます

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投稿者プロフィール

佐藤元相
佐藤元相
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。

著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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