今回は「小さな工務店の経営者が成功するための新規顧客の獲得と既存顧客のケア、そして顧客の情報を上手に活用する方法」をテーマにお伝えしていきます。

目次
見えない環境が大きく変わっている
1位づくり戦略コンサルタントの佐藤です。
私はさまざまな業種における経営コンサルタントとして、全国各地で講演やセミナーを行ったり、経営者の方々から経営についてのご相談を頂いたりします。
住宅業界でもビルダー様とよくお話をしていますが、みなさん苦戦されているのがよく伝わってきます。
とくに2 代目、3 代目となる経営者の方の悩みが深いように思います。
これまではそれなりに安定した受注があり、売上も計算できていたのが、ここ数年になって、ぱったりと仕事がとれなくなった。
チラシの反応も悪くなった。
父の代からこれまでやってきたことをそのまま受け継いで、とくに変わったことはしていないのに…。
そんな声をよく耳にします。
そのたびに私は次のようにお答えしています。
「急にこのような事態になったわけではありません。もっと前から少しずつ窮地に追いやられていることに気づいていなかっただけですよ」と…。
そうです。地場のビルダー様を取り巻く環境は大きく確実に変貌を遂げています。
そこに気がつかず、「従来のまま」でいては取り残されてしまうばかりです。
では、現在、受注に悩んでいるビルダー様はどのような状況にあるのでしょうか。
ちょっと整理してみましょう。
先代からの顧客の高齢化
まず、1つ目は「先代からの顧客の高齢化」という要素があります。
新築、建て替え、リフォームと何かにつけて、ずっとひいきにしてくれていた顧客も、20 年、30 年と過ぎるうちに第一線を退き、息子の代に家督を譲り渡すようになります。
場合によっては亡くなったりすることもあるでしょう。
そうなるともう「お得意さま」ではなくなってしまいます。
いつの間にか、大手の住宅に建て替えられていた、などというのもまたよく聞く話です。

新規顧客を開拓しない、もしくはOB顧客をケアしないで放置していると、顧客の高齢化に伴って徐々に支持者が地域からいなくなり、
「地元での信頼」「いい評判」も薄れてしまい、地元ならではのアドバンテージを失っていってしまいます。
大手住宅会社の進出、異業種企業の新規参入
2つ目は、これまで地場のビルダー様が得意としていた「こだわりの住宅」「手頃な価格」といったジャンルに対して、大手の住宅会社が手を伸ばすようになってきました。
インテリアショップや家電量販店、ホームセンターなどの異業種からもリフォームを中心に新規参入が続いています。
少なくなったパイをさらに多くの会社で取り合うような、「競争の激化」がもうひとつの大きな変化です。

これまでは町内の仕事は無風状態で受注できていたかもしれませんが、大手の営業攻勢や異業種の宣伝作戦、値引き・ローコスト対応によって、強力な競合相手を常に意識しなければならない状態になっているのです。
ユーザーの情報武装
3 つめは「ユーザーの情報武装」です。
今や機械オンチを自認するような女性でも、ちょっとした調べものの際にはスマートフォンやipad を使ってインターネット検索を行います。
私の友人が家を建てたときも、普段パソコンをいじらない奥さんが、インターネットで床暖房対応の無垢の床材を探したそうです。
最初に建材メーカーや設備メーカー、設計担当の建築士に問い合わせたところ、口をそろえて「ない」と言われたんです。
しかし、インターネットで調べたら出てきた。
普通の顧客だったら「あの建築士はうそつきだ」と言いかねません。
もうある分野では顧客のほうが情報を多く持っている、と思っていたほうが良いと思います。
床暖房対応の無垢フローリングの件も、「あるかもしれない。探してみます」と答えるのが正解だと言えるでしょう。

もはや「ホーム」ではない地元で、「ごひいき」をなくして、「情報」によって大手と同じ土俵でフラットに比較されているわけです。
「受注がない」のではなく、知らないうちに顧客を奪われているだけなのかもしれません。
あなたの会社は、売ることばかりを考えていませんか?
どのように販売するのかではなく、どのようにすれば選ばれるビルダーになるのかを考えて取り組んでみましょう。
そこに現状を打破するヒントが潜んでいます。
投稿者プロフィール

-
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
1300社以上の指導実績をもつ。「下請け脱却戦略」をはじめ多彩なテーマで年間200回以上のセミナーを行っている。自ら主催する経営塾「あきない実践道場」には全国から経営者が集い、多くの成功事例を生み出している。
ともいきの精神
今、時代に求められている考え方は、仏教で言うところの〝ともいき(共生)の精神〟ではないかと私は思っています。
自分のための生き方ではなく、自分の生き方が人に感銘を与え、人に幸せをもたらせる、このような自他共に生きるともいき(共生) の心をいまの時代、再認識しなければならないように強く感じています。
人はひとりでは生きていけません。
人は誰かと出会い、そして繋がり、必ず人との関わりの中で生きています。
私たちNNA は、大きく変わっていく時代の先を見据え、お客さま・社会・そして我々自身のミッションテーマとして、〝ともいき(共生)〟を掲げ、我々独自の価値観による輪を広げていきたいと考えています。
1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相について