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佐藤元相のオフィシャルブログ

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤 元相

第2回|小さな会社には、小さな会社の採用の勝ち方がある

条件競争を避け、“共感”で人が集まる会社へ。ランチェスター戦略で考える「弱者の採用戦略」

前回は、工務店・リフォーム会社の採用が、なぜ苦しくなっているのかについてお伝えしました。

「求人を出しても応募が来ない」
「若い大工が育たない」
「現場監督が続かない」
「採用しても、すぐ辞めてしまう」

こうした声を、私は全国の工務店で数多く聞いてきました。

特に最近は、大手ハウスメーカーや大手工務店との“条件競争”になりやすくなっています。

給与。
休日。
福利厚生。
知名度。

しかし、小さな会社が、同じ土俵で戦うと苦しくなります。

だからこそ必要なのが、

「弱者の採用戦略」

です。

これは、大手と同じ戦い方をしないという考え方です。

小さな会社だからこそできる、“地域密着型の採用戦略”です。

私はこれまで、地域密着の工務店や下請け町工場や製造業メーカーを中心に、集客や採用支援を行ってきました。

ランチェスター戦略のモノ差しで、どこに強みがあるのか分析する。
顧客を取材する。
ライバルを調査する。
自社分析をする。

強みが見つかれば、ホームページ。
展示会。
SNS。
ブログ。
チラシ。
地域イベント。

どうすれば、差別化できるのか。
お客さまから「この会社にお願いしたい」と選ばれるのか。

その現場を、長年、支えてきました。

その中で、ある時、気づいたのです。

「採用と集客は、実はほとんど同じだ」

ということに。


採用と集客には、共通点がある

きっかけは、あるステンレス容器の製造メーカーでの取り組みでした。

溶接工の職人さんの仕事風景。
現場のものづくりへのこだわり。
働く人たちのリアルな姿。

そんな日常をホームページで発信していました。

すると社長から、

「最近、大卒の学生がエントリーしてくるようになった」

という声が上がったのです。

それまで地の元高校生や経験者などの採用が中心だった会社です。

なぜ変わったのか。

実際に学生へ話を聞くと、

「流れ作業ではなく、一つひとつ、丁寧にものづくりをしているところに魅力を感じた」
「溶接工の職人さんの姿がかっこよかった」
「仕事へのやりがいを感じるだろうと思ってエントリーした」

という声が返ってきました。

求人広告を強化したわけではありません。

“働く人の姿”を見せたことで、共感した人が集まってきたのです。

私はこの時、強く感じました。

採用で大切なのは、条件だけではない。

「どんな人たちが、どんな思いで働いているのか」

そこに共感した人が集まるのだと。

これは工務店でも同じです。

どんな家を建てているのか。

どんな現場なのか。

どんな大工さんや現場監督が働いているのか。

どんな思いで、お客様と向き合っているのか。

そこに共感した人が、「この会社で働きたい」と感じ始めるのです。


小さな工務店は、大手と同じ戦い方をしてはいけない

ここで重要になるのが、ランチェスター戦略です。

ランチェスター戦略には、

「強者の戦略」
「弱者の戦略」

の2つがあります。

大手ハウスメーカーや大手工務店は、

  • 広告費
  • 求人数
  • 給与
  • 福利厚生
  • 知名度

で戦うことができます。

テレビCM。

大型求人媒体。

Indeed広告。

「広く・多く・強く」ができるのです。

しかし、地域密着の小さな工務店が同じ戦い方をすると、どうしても条件比較になります。

すると最後は、

「給料が高い会社」
「休みが多い会社」
「有名な会社」

へ流れていきます。

だから、小さな工務店は戦い方を変えなければなりません。

そこで必要になるのが、「弱者の採用戦略」です。


弱者の採用戦略 9つの原則

① 全体発想を捨てて差別化する

従来の採用方法に頼らず、自社ならではの採用方法を考える。

② 一点集中主義で必要な人材を確保する

「誰でもいい」ではなく、本当に来てほしい人材に絞る。

③ 各個撃破主義で取り組む

大人数を集めるのではなく、紹介やご縁を大切にする。

④ 活動は重点地区に徹する

学区・地域・近隣など、募集エリアを絞る。

⑤ 接近戦を選ぶ

社長が直接、思いを語れる採用にする。

⑥ 軽装備に徹する

広告費を大量に使わず、SNS・ブログ・イベントを活用する。

⑦ 隠密行動をとる

大手と同じ求人媒体だけに頼らない。

⑧ 団結力をアピールする

働く人たちの空気感や日常を見せる。

⑨ 先制攻撃を心がける

採用前から、地域の若者と関係をつくる。


小さな工務店の採用は、「絞る」ことから始まる

この9つに共通しているのは、

「絞る」

という考え方です。

誰に来てほしいのか。

どんな価値観の人と働きたいのか。

どこの地域から来てほしいのか。

ここを明確にするのです。

例えば、

  • 木が好きな人
  • ものづくりが好きな人
  • 地域に残りたい人
  • 手に職をつけたい人
  • お客様と長く関わりたい人

こうした人に向けて、具体的に言葉を届ける。

すると、「この会社で働きたい」と感じる人が現れ始めます。

「誰でもいいから来てください」

では、人は集まりません。

むしろミスマッチが起きます。

だからこそ、小さな工務店ほど、

「あなたのような人に来てほしい」

を明確にする必要があるのです。


条件ではなく、“価値”に共感した人が集まる

採用でよくあるのが、

「アットホームです」
「やりがいがあります」
「働きやすいです」

という表現です。

しかし、これだけでは伝わりません。

本当に必要なのは、

「この工務店で働くことで、どんな未来があるのか」

を具体的に伝えることです。

例えば、

  • 地域のお客様から直接「ありがとう」が聞ける
  • 大工さんや職人さんと一緒に家づくりができる
  • 一棟一棟、お客様と深く関われる
  • 子どもが熱を出したらすぐ帰れる環境がある
  • 歳を重ねても、地元で長く働ける
  • 手に職がつく

紹介した事例は一部ではありますが、
こうしたことがあなたの会社の“価値”なのです。

条件で集まった人は、よりよい条件があれば離れます。

しかし、価値に共感した人は、長く残ります。


社長の思いが、最大の差別化になる

実際、採用がうまくいっている会社ほど、社長が自分の言葉で語っています。

なぜ、この地域で工務店をしているのか。

なぜ、家づくりを続けているのか。

どんな未来を地域に残したいのか。

国境の島、長崎・対馬に良い事例があります。

地域のインフラを支える対馬ビルサービスでは、地域の子どもたちと海岸清掃やワークショップを続けています。

その中で社長は、イベントで、自らの想いを語り伝えています。

「対馬には何もない、ではなく、無ければ作ればいい」

「島を離れても、帰ってこられる場所を守りたい」

この言葉に共感した若者たちが、実際に入社しています。

求人票ではありません。

社長の思いに、人が集まっているのです。

これは工務店でも同じです。

社長が、

「地域に木の文化を残したい」

「地元の暮らしを守りたい」

「子どもたちが帰ってこられる町をつくりたい」

そう語る会社には、共感した人が集まり始めます。


不安を安心に変えることが採用

大学生へのアンケートで、最も多かった不安があります。

それは、

「どんな上司か分からない」

でした。

つまり、人は“分からない”ことに不安を感じます。

だから、

  • 社員紹介
  • SNS
  • ブログ
  • 動画
  • 地域イベント
  • 現場風景

を通じて、

「どんな人が働いているのか」

を見せることが大切になります。

特に工務店は、現場に“人柄”が出ます。

現場監督がどんな人なのか。

大工さんがどんな人なのか。

休憩中にどんな会話をしているのか。

そこに安心を感じる若い人は多いのです。

小さな工務店の強みは、“人が見える”ことです。

これは大手には真似できません。


採用は、面接前から始まっている

採用というと、多くの会社は「求人募集」から考えます。

しかし、本当はその前から始まっています。

感謝祭。

木工教室。

地域清掃。

職業体験。

DIYイベント。

地域のお祭り。

こうした場で、子どもたちや親御さん、学生たちは会社を見ています。

「どんな社長なのか」
「どんな社員がいるのか」
「どんな空気感なのか」

を感じています。

だからこそ、地域密着の工務店ほど、“地域との接点”が重要なのです。


小さな工務店には、小さな工務店の勝ち方がある

弱者の採用戦略とは、

大手と同じことをしないことです。

条件競争に入らない。

理想の人材に絞る。

地域を絞る。

共感を伝える。

社長の思いを語る。

日常を見せる。

接点を増やす。

これを積み重ねることで、

「この会社で働きたい」

という人が、少しずつ集まり始めます。

採用とは、単なる人集めではありません。

未来の仲間との関係づくりです。

そして地域密着の工務店には、大手にはない強みがあります。

顔が見えること。

地域との距離が近いこと。

お客様と長く関われること。

人の温度が伝わること。

そこに、小さな工務店ならではの強さがあります。

次回は、実際にどのように「理想の求職者」に絞り込み、ご近所採用を実践していくのか。

具体的な事例をもとにお伝えします。

もし今、

「採用費をかけても成果が出ない」
「求人媒体に振り回されている」
「地域での採用に課題を感じている」

そんな状態であれば、一度ご相談ください。

今回のお話は、工務店・リフォーム会社向け経営支援を行う HORP(一般社団法人 Housing Renovation Platform) にて、経営者・広報担当者・総務担当者の皆さまへ向けて開催した「ランチェスター採用戦略」研修をもとに構成しています。

投稿者プロフィール

佐藤元相
佐藤元相
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。

著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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