目次
中小企業の新たな採用文化。御座船に込めた、経営者の哲学と次世代へのメッセージ
2025年3月21日、私たちNNA株式会社は、ひとりの新入社員を迎えました。
その1ヶ月後、入社式の会場に選んだのは――昨年に引き続き、大阪城のお堀を巡る「御座船(ござぶね)」でした。昨年の入社式の様子

この特別な入社式には、創業37年目を迎える会社の「人生の使命を伝える想い」が詰まっています。
また、私自身が4年後に息子へ事業を継承する決意を固めた今だからこそ、“未来へ向かう”この日に特別な意味を持たせたかったのです。
この記事では、御座船入社式の記録とともに、NNAという会社が大切にしてきた「感性論哲学」と「仕事と人生」について、お伝えしていきます。
入社式の前に、祝い膳から始まるあたたかな時間
4月23日正午、大阪・南森町の「ホテルキャビン」に社員全員が集まりました。
ここから始まったのは、“式典”ではなく、“祝いの時間”です。
この場には、20年以上会社を支えてくれた二人の顧問、中野仁さんと河原治さんも同席して頂きました。

河原さんは2001年に出会いました。私の親友であり、財務顧問として会社の成長と安定を支えてくださっている存在。
中野さんもまた、経営の俯瞰と判断の要として、長年にわたり私たちを見守り導いてくださっています。
そして今回の主役、新入社員・山根くんも、そんな愛ある空気の中に迎え入れられました。
私たちは支え合い、互いの命を輝かせる存在としてこの場を創作しました。大きな愛で彼を迎えいれる。人間としての成長を何より大切にしたいと考え会社を運営しています。
祝い膳の席では、未来を語り合い、自然と笑みがこぼれる和やかな雰囲気でした。
そこには、「一緒に働く」という関係を超えた、“共に未来を創っていく同志”という関係を育んで行く場となりました。
小さな御座船に乗せた、大きな想い
ランチの後、タクシーに乗り合わせて大阪城・京橋口へ。
お堀沿いの石畳をゆっくりと歩き、目的の御座船へと向かいます。
この御座船は、かつて城主や要人たちが使用した格式高い船。
その静かな水面に浮かぶ船の上に、新しい仲間と、未来へのメッセージを乗せたのです。

空は曇りがち。予報では午後から雨。
しかし不思議なことに、船が出航したその瞬間だけ、やさしい雨が静かに降り出しました。
まるで空さえもこの門出を演出してくれているようでした。
御座船の畳の上に、輪になるように座った社員たち。
温かい笑顔がこの場を包んでいました。
新入社員の山根くんの決意
この日の主役である山根くん。
彼の入社の言葉には、シンプルで力強い決意が込められていました。
「僕は、自分の能力を最大限に活かして、世界中に笑顔を増やしていきたい。
与えられるのを待つのではなく、自ら仕事をつくっていける人間になりたい。」

彼の目には、夢を希望を体現していくまっすぐな覚悟が宿っていました。
私たちが目指す人物は、「自ら考え、動き、切り拓く人材」です。
この言葉を聞いた瞬間、“未来を託せる人材になってもらいたい”と強く想いました。
顧問からの贈る言葉
続いて、長年私たちを支えてくれているお二人の顧問から、未来を担う若者へ心のこもった言葉が贈られました。
河原治さん:「君に違和感があるなら、それは大切にしなさい。違和感は、会社を変える感性なんだ。良いことをやっていても、私たちには見えなくなることがある。でも君たちは、それを感じることができる。だから、違和感を感性化しなさい。」
中野仁さん:「事業は承継するものと、創造するものがある。新たな未来を創る!それが君の役割でもある。これまでやってきたことを大切にしながらも、自分たちの価値観を大切にして新しい文化を創り出して欲しい」
曇り空の中、この言葉が、山根くんだけでなく、私自身や社員たちの心にも深く溶け込んでいきました。
私が伝えたかったこと、経営とは人を支えること
私からも、代表としての言葉を贈りました。
「しゅんちゃん、ようこそNNAへ。私たちNNAの一員となってくれたこと、心から歓迎します。
あなたには、動画クリエイターとしてのスキルだけでなく、「ランチェスター戦略を根幹とした、未来へ事業を繋ぐ教育支援会社 NNA」が取り組んでいる様々なプロジェクトにも積極的に関わり、いずれは“知識や体験、人生を伝える”側として、中小企業の方々に対して、次世代の挑戦を支える存在になって欲しい!
しかし“支える”というのは、簡単なことではありません。それには、自分自身が誰よりも学び、経験を積み、成長することが求められます。だからこそ、私たちは“使命”を胸に、高い志で仕事に向き合っています。
このNNAでの時間が、あなたの人生にとってかけがえのない学びと挑戦の場になることを願っています。どうか覚悟をもって、共に歩んでいきましょう。」
そして新たな事業となるじゃむせについて、伝えました。
「農家さんを守る。地域を支える。私たちの仕事は、ただのコンサルティング会社ではない。日本を支えて行く存在を目指すのです。」
この御座船の上で交わされた言葉は、何よりも“生きた理念”として、新たな世代に引き継いでもらいたい。
心を奏でるエンディング
式の終盤、社員と共にサプライズを用意しました。
ブルースハープとサックスによる「聖者の行進」と「歓喜の歌」の演奏です。
決してプロのような演奏ではありません。
けれど、その不完全な演奏こそが、人の温もりを乗せ、静かな水面に溶けていきました。

山根くんを囲み手をたたきみんなで祝いました。
この瞬間、「NNAの社員になる」とは、単なる入社ではなく、“家族のように支え合う船に乗ること”なのだと、全員が感じていたに違いありません。
創業37年、離職率ゼロの背景にあるもの
私たちNNAは、創業から37年。
そしてこの27年間、正社員の離職者はひとりも出ていません。
これを支えているのは、「人を信じ、育てる」という哲学に他なりません。
私たちには、「良い会社をつくる3つの問い」があります。
- その行動で、お客さまは喜ぶか?
- その行動は、性善説か?
- その行動は、人を幸せにするか?
この問いを持ち続けることで、制度やマニュアルに頼らない“信頼の文化”が育まれていると私は信じています。
息子に譲るもの、それは“問いを持ち続ける姿勢”
4年後に私は息子に事業を託します。
彼(佐藤大将)はかつて動画クリエイターとしても成果を上げ、今は私の右腕として学びの途中にいます。
私は、会社という「場所」や「事業」を譲るのではありません。
譲りたいのは、“人生の目的を問いつづけ、天命を全うする生き方”です。
仕事は人生そのものである。仕事で人を幸せにする。仕事を通して社会に貢献する。
仕事こそが自分の人生を現す場なのです。だからこそ学ぶことが大事になる。学びとは人が幸せになるための知識と実践に他なりません。
だからこそ、経営には「哲学」という根が必要なのです。
最後に、会社は、人が輝くためにある
私たちは大企業ではありません。
でも、小さな会社だからこそできることがあります。
それは、一人ひとりの人生の目的を体現することにあると考えています。
「何のために仕事をしているのか?」
「仕事を通して何を実現したいのか?」
「人生のターゲットを明確にしているか?」
常に問い続けていくことが大事なのです。
1度きりの人生です。
自分の人生なのだから自分で創っていく力が必要なのです。
山根くんには、以下の手紙を書きました。

今回の入社式は、仲間とともに歩んでいくことを誓いあった素敵な一日となりました。
人を迎えることは、未来を迎えること。
御座船の上で、私たちは確かに未来へと舵を切ったのです。

NNA株式会社
代表取締役社長
佐藤元相(さとう もとし)
投稿者プロフィール

-
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。