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佐藤元相のオフィシャルブログ

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤 元相

「採用は経営である」人が集まり続ける店の共通点|ランチェスター戦略で解く採用の本質

― 東岸和田・彩鳥屋てっちゃんに学ぶ「ランチェスター採用戦略」 ―

2025年7月7日、私たちは東岸和田にある「彩鳥屋てっちゃん」を視察しました。

採用・定着に悩む中小企業のための”現場の知恵”「求人しても来ない」「すぐ辞める」を変えるセミナー!

今回のテーマは「採用」。
しかし、単なる求人ノウハウではありません。

“採用に困らない店は何をしているのか”

この問いに対する、現場でのリアルな答えを体感する視察でした。


 なぜ今、採用なのか

飲食業界だけでなく、あらゆる業界で人手不足が叫ばれています。

・求人を出しても応募が来ない
・採用してもすぐ辞める
・教育しても定着しない

多くの経営者が、こうした課題に直面しています。

実際、視察前に訪れた飲食店でも、
「人がいないので店を閉めた」という現実がありました。

お客様はいる。
売上も見込める。

それでも、人がいないから営業できない。

これが今の現場です。

東岸和田 彩鳥屋 てっちゃん 店主早崎さん 採用セミナー

 しかし、てっちゃんは違う

東岸和田の「彩鳥屋てっちゃん」は、
この状況とは真逆です。

・採用に困ったことがない
・アルバイトが長く続く
・アルバイトから正社員へと育つ
・卒業後も関係が続く

なぜ、これができるのか。

結論はシンプルです。

採用を“戦略”としてやっているからです。

しかもその中身は、まさにランチェスター戦略そのものです。


 採用は「人を集める活動」ではない

てっちゃんはこう言います。

「人がいないのは、自分の責任です」

多くの会社は外に原因を求めます。

・若い子が続かない
・時代が悪い
・求人媒体が悪い

しかし彼は違います。

採用とは“待つもの”ではなく、“つくるもの”

この考え方がすべての出発点です。


 ランチェスター戦略:客層戦略(誰に来てもらいたいのか?)

誰でも採用しない。
これが徹底されています。

・素直な人
・人の話を聞ける人
・仲間とやれる人

一見シンプルですが、ここには深い意図があります。

「だれに来てもらいたいのか?」採用について語る店主 早崎さん

 本質は「人の条件」ではない

多くの会社はこう考えます。

・明るい人
・元気な人
・やる気のある人

しかし、てっちゃんは違います。

見ているのは、

「この人とどんな関係を築けるか」

です。


 理想の求職者とは“関係性の定義”

つまり、

“理想の求職者”とは単なる人物像ではなく、

理想の関係性そのもの

なのです。

例えば、

・素直な人 → 指導を受け取り、成長できる関係
・話を聞ける人 → 意思疎通ができる関係
・仲間とやれる人 → チームで支え合える関係

これはすべて、

「お店の中でどういう関係をつくりたいか」

を言語化したものです。


 客層戦略は「排除の戦略」

ここも重要です。

理想を決めるということは、

合わない人を明確にすること

でもあります。

・言われたことを素直に受け取れない人
・人のせいにする人
・チームで動けない人

こういう人は、最初から採用しない。

これが結果として、

・トラブルが少ない
・教育が楽になる
・離職が減る

という状態をつくります。


 なぜここまで徹底できるのか

理由はシンプルです。

てっちゃんは、

「人が足りないから採用する」
という発想を持っていない

からです。

多くの会社は、

足りない → 採る → ミスマッチ → 崩れる

この循環に入っています。

しかし、てっちゃんは逆です。

合う人だけ採る → だから崩れない


 お客様とまったく同じ構造

これはまさにランチェスター戦略です。

お客様でも同じです。

・誰でも来てください → 価格競争
・来てほしい人を決める → 選ばれる店

採用も同じです。

誰でも採る会社に、人は定着しない


 ランチェスター戦略:客層戦略(どう見極めるか)

では、この“理想の関係性”をどう見極めるのか。

ここが、てっちゃんのすごいところです。


 言葉ではなく“行動”で判断する

多くの面接では、

・やる気あります
・頑張ります
・人と仲良くできます

こうした言葉で判断してしまいます。

しかし、てっちゃんは違います。

言葉は信用しない。行動を見る。


 草抜きに表れる“本性”

その一つが、

実際に作業をさせること(草抜きなど)

です。

一見すると単純な作業です。

しかし、この中にすべてが出ます。

・言われたことを素直にやるか
・手を抜くか
・周りを見て動けるか
・嫌なことでも取り組めるか

つまり、

人の本質は、単純な行動に現れる

のです。


 理論と実践がつながる瞬間

ここで最初の客層戦略に戻ります。

てっちゃんが求めているのは、

・素直な人
・仲間とやれる人

これは、

面接の言葉ではなく、行動でしか分からない

のです。

だからこそ、

・理想を定義し
・行動で見極める

この一貫した流れができています。


 採用とは“体験設計”

ここまでくると、採用の見方が変わります。

採用とは、

履歴書で選ぶことでも、
面接で判断することでもありません。

一緒に働く体験の中で見極めること

です。


 結論

てっちゃんの客層戦略は、

「いい人を探す」ことではありません。

「いい関係が築けるかを、行動で確かめること」

です。


 経営者への問い

あなたの会社は、

理想の人物像を言語化していますか?

そして、

それを行動で見極める仕組みがありますか?

ここまで設計できたとき、
採用は“運”ではなく“戦略”に変わります。


 ランチェスター戦略:差別化戦略(土俵を変える)

求人はほとんどが同じです。

・時給
・シフト
・まかない

しかし、てっちゃんは違います。

・大きな手作りポスター
・働く意味を伝える言葉
・リアルな現場の本音

つまり、

「この店で働く理由」を伝えている

集客では差別化するのに、
採用では差別化しない。

ここに大きな落とし穴があります。


 ランチェスター戦略:接近戦(採用の入口)

採用の入口も、てっちゃんはまったく違います。

・お客様からの紹介
・地域との関係
・日常の会話
・ポスター

つまり、

人との接点から採用が生まれている

求人サイトだけでは、
「求人を探している人」にしか届きません。

しかし現実には、

まだ探していない人の中にこそ良い人材がいる

ここが非常に重要なポイントです。


 人材は「2種類いる」

採用対象は、大きく2つに分かれます。

① 今すぐ働きたい人
② そのうち働きたいと思っている人

多くの企業は①しか見ていません。

求人サイトは、まさに①の人が集まる場所です。
だから競争になります。
条件勝負になります。
時給を上げるしかなくなります。


 本当の勝負は②にある

てっちゃんが狙っているのは②です。

・まだバイトを探していない学生
・受験が終わったら働こうと思っている子
・紹介されたら動く人
・「いい店があれば」と思っている人

こういう人たちは、

求人サイトには存在しません。

しかし、数としては圧倒的に多い。

ここにアプローチできるかどうかで、
採用の難易度は大きく変わります。


 なぜ②の人が重要なのか

理由はシンプルです。

競争がないからです。

①の人材は、

・時給
・条件
・勤務地

で比較します。

しかし②の人材は違います。

・誰から紹介されたか
・どんな店か
・どんな人がいるか

つまり、

“関係性”で選ぶ

のです。


 接近戦とは「未来の人材づくり」

ここで重要なのは、考え方の転換です。

採用とは、

今いる人を集めることではなく、

未来の人材を育てる活動

だということです。

・日常の接点
・地域との関係
・お客様との会話

この一つ一つが、

「将来の採用」に繋がっています。


 具体的に何が起きているか

てっちゃんの現場では、こういうことが起きています。

・お客様の子どもが後から働きに来る
・職業体験の学生が数年後に応募する
・紹介で繋がる
・卒業生が戻ってくる

つまり、

採用が“後追い”ではなく“先行”している

状態です。


 戦略的な採用の取り組み

まとめると、こうなります。

①(今すぐ働きたい人)は競争市場

②(そのうち働く人)は非競争市場

そして、

ランチェスター戦略は弱者が非競争市場を取る戦略

です。

だからこそ、

てっちゃんは②を取りにいっている。


経営者への問い

あなたの会社は、

①の人材を取り合っていますか?
それとも
②の人材を育てていますか?

ここを変えるだけで、

採用は「苦労」から「仕組み」に変わります。


ランチェスター戦略:相手を知る(面接)

面接も徹底しています。

・1〜2時間かける
・価値観を見る
・人生や経験を聞く

なぜそこまでやるのか。

答えは明確です。

「採用の失敗は教育では取り戻せない」

ここを外すと、すべてが崩れます。


 面接は「選ぶ場」ではなく「見極める場」

多くの企業の面接は、

・スキルがあるか
・条件に合うか
・シフトに入れるか

を確認する場になっています。

しかし、てっちゃんの面接は違います。

見ているのは、

「この人と長く関係を築けるかどうか」

です。


 見ているのは“その人の背景”

例えば面接では、

・どんな学生生活を送ってきたのか
・何に悔しさを感じたのか
・どんなことに努力してきたのか

といった、“人生の中身”を聞いていきます。

なぜなら、

行動の裏には必ず価値観があるからです。


 さらに一歩踏み込む「家族との関係」

ここが非常に特徴的です。

てっちゃんは、

親との関係性も重視しています。

・親とどんな関係なのか
・家庭でどういう環境で育ってきたのか
・応援されているのか

ここまで見ています。

場合によっては、

親御さんに連絡がいくこともある。

これは単なる確認ではありません。


 なぜ親を見るのか

理由はシンプルです。

人は、家庭環境の影響を強く受けるからです。

・約束を守れるか
・人との関係を大切にできるか
・継続できるか

こうした土台は、家庭で育まれています。

だからこそ、

本人だけで判断しない

のです。


 親とも関係をつくる

さらに重要なのはここです。

親を“チェックする”のではなく、

親とも関係をつくる

という発想です。

・「お子さん、頑張ってますよ」と伝える
・働いている姿を見てもらう
・安心してもらう

するとどうなるか。

親が応援者になる

のです。


 採用は「個人」ではなく「環境」で見る

ここまでくると、採用の考え方が変わります。

一般的な採用
→ 個人を見る

てっちゃんの採用
→ 個人+環境(家族・背景)を見る

だから、

・辞めにくい
・続きやすい
・紹介が生まれる

という状態になります。


 「人生と向き合うこと」

1〜2時間の面接は長いように感じるかもしれません。

しかし、考えてみてください。

週3回、1日5時間働けば、
年間で500時間以上一緒に過ごすことになります。

その関係を、

10分や15分で決める方が無理があります。


 結論

てっちゃんの面接は、

単なる採用プロセスではありません。

人生と向き合う時間です。

だからこそ、

・価値観が合う人だけが残る
・関係性が深くなる
・組織が安定する


 パワハラの考え方も“採用で決まる”

ここで非常に重要な話がありました。

てっちゃんはこう言います。

「机をバーンと叩いたら、それはパワハラやと言われるやんか」
「でも、それをどう受け取るかは人によるやろ」

さらにこう続きます。

「それがパワハラかどうかを議論する前に、
それをパワハラだと思う人は雇わない」


 本質は“行為”ではなく“相性”

この言葉は非常に重要です。

多くの会社は、

・どこまでがパワハラか
・どう言えばいいか

と「行為」を調整しようとします。

しかし、てっちゃんは違います。

問題は“行為”ではなく“価値観のズレ”

だと捉えています。


 だから採用で決める

後からルールで縛るのではなく、

最初に相性の合う人だけを採用する

だから組織がブレません。

ただし、ここには大前提があります。


 信頼関係があるから成立する

彼は同時にこう言っています。

「どんなことがあってもスタッフを守る」
「絶対に裏切らない」

この前提があるからこそ、

厳しい言葉も
強い指導も

信頼の中で成立するのです。


 採用の本質は「関係性」

さらに特徴的なのは「卒業」です。

・辞め方を最初に教える
・気持ちよく終わる
・関係を続ける

これを

「大人の辞め方」

と呼んでいます。

結果、

・戻ってくる
・紹介してくれる
・助けてくれる

採用は「点」ではなく「循環」になります。


 採用は“循環”である

てっちゃんの採用は、

出会い → 採用 → 成長 → 卒業 → 再接続

この流れができています。

だから、

人に困らない状態が生まれる

のです。


 経営者への問い

あなたの会社の面接は、

「条件の確認」で終わっていませんか?

それとも、

その人の人生と向き合っていますか?

この違いが、
採用の質を決定的に変えます。


 私のまとめ

今回の視察で改めて確信しました。

採用とは、
経営そのものです。

誰と働くのか。
どんな価値観で働くのか。
どんな関係を築くのか。

すべては採用から始まります。

そしてもう一つ。

パワハラの問題も同じです。

行為を整えるのではなく、
人を選ぶことが本質です。


てっちゃんの取り組みは特別ではありません。
しかし、誰もができていないことを、徹底しています。

だから結果が出る。


ここで、もう一つ大切なことがあります。

それは、

これは「小さなお店だからできること」だということです。

大手企業のように、

・大量採用
・マニュアル化
・仕組み化された面接

を真似しても、小さな会社は勝てません。

むしろ逆です。


 小さな会社の採用戦略

小さな会社が取るべき戦略は、

・一人ひとりと深く関わる
・価値観でつながる
・関係性で採用する

つまり、

採用の差別化です。


大手は、

・条件
・給与
・知名度

で勝負します。

しかし小さな会社は、

関係性と想いで勝負できる。


そのために必要なのは、

・現場の言葉で伝えること
・日常の接点を増やすこと
・一人ひとりと向き合うこと

です。


 大手任せにしない

求人媒体に出せば人が来る。
コンサルに任せれば採用できる。

そんな時代ではありません。

採用を外注している限り、
採用は自社の力にはなりません。


てっちゃんは、

・ポスターを自分で作る
・言葉を自分で考える
・関係を自分で築く

すべてを自分でやっています。


 採用に知恵を使う

お金をかけるのではなく、

知恵を使う。

ここに、小さな会社の強さがあります。


 最後に

最後に、あなたに問いかけたいと思います。

あなたの会社は、

“選ばれる職場”になっていますか?

そして、

採用に知恵を使っていますか?

ここからすべてが始まります。

投稿者プロフィール

佐藤元相
佐藤元相
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。

著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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