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佐藤元相のオフィシャルブログ

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤 元相

事業承継の第一歩は「対話」から始まる

中小企業にとって「事業承継」は非常に大きなテーマです。長年続けてきた会社を誰に、どのように引き継ぐのか。これは単なる手続きではなく、会社の未来や従業員の生活を左右する重要な決断です。

しかし、多くの経営者が「いつ、どうやって話し始めればいいのか分からない」と悩んでいます。特に、家族経営の中では、お互いに遠慮や不安があり、肝心の話し合いが先延ばしになりがちです。実際、私自身も同じ悩みを抱えていました。

この記事では、私の経験をもとに、事業承継の第一歩としての「対話」の重要性と、その進め方についてお伝えします。これから事業承継を考えている方々が、一歩を踏み出すヒントにしていただければ幸いです。


60歳を迎えた私が抱えた悩み

こんにちは1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。
私は60歳を迎えたころ、「この会社をどうするべきか」を真剣に考えるようになりました。これまで何十年もかけて築き上げてきた会社。従業員の生活を支えるためにも、そしてお客様に引き続きあきない道場で戦略を学び続けて頂くためにも、しっかりと次の世代に引き継ぐ必要がある。それは分かっていたのですが、「息子にどう話を切り出せばいいのか」が分からなかったのです。

息子が何を考えているのか、会社をどう思っているのかを知りたい気持ちはありました。しかし、もし「会社を継ぐことは考えていない」、「継ぎたい気持ちはあるけれど、ボクにはできない」と言われたらどうしようという不安がありました。

その結果、私は「まだタイミングじゃない」「そのうち話そう」と考え、具体的な話し合いを先延ばしにしていました。しかし、そのままでは何も進みません。会社の未来を守るために、まずは息子と向き合う決意をしました。


息子と本音で話し合えた「偶然のタイミング」

私が息子と本音で話すことができたのは、ある家族旅行のときでした。宿泊先のベランダでお酒を飲みながら、何気なく「これから会社をどうしていくべきか」を話題にしたのです。

最初は軽い気持ちで、「今の会社でこれから先のことを、どう考えているんだ?」と聞いてみました。すると、息子は自分の正直な気持ちを話し始めました。「実は、自分にはやりたいことがあるんだ」と。

その言葉を聞いたとき、私は一瞬不安になりました。「会社を継ぐ気がないのかもしれない」と。でも、その後もじっくり話を聴いてみると、息子が言う「やりたいこと」は、動画クリエーターとしての実力をもっと高めていきたい!新しいことに挑戦してみたい、というものでした。その話を聞いたとき、「それなら一緒にやれるのでは?」と心から思いました。

私は息子に自分の願望を伝えました。「ランチェスター戦略を通じて日本の中小企業を元気にしていきたい!」「中小企業には独自の技術やノウハウがある。それを言語化して伝えることができれば差別化になるんだ」と熱く語りました。この話を通じて、息子との間に共通のビジョンが芽生えたように感じます。

また、私たち親子と共通の知り合いである町工場の社長との会話がきっかけとなり、会社の未来について本音で話し合う機会が生まれました。この対話を通じて、事業承継の準備を進める第一歩を踏み出すことができました。


対話がもたらしたもの

この経験を通じて、私は**「対話」の重要性**を強く実感しました。事業承継において、経営者が抱える不安と同じように、後継者候補もまた不安や悩みを抱えていることが多いです。お互いの気持ちを知り、理解し合うためには、まず「対話」を始めることが必要です。

相手の意見をしっかり聴くことがカギ

対話をする際に、特に意識してほしいのは「相手の意見を尊重し、しっかり話を聴く」ということです。私は息子との話し合いの中で、「自分がこうしたい」という話をする前に、まず息子が考えていることを全力で聴くことに徹しました。

ポイントは、相手の意見を否定しないことです。たとえ自分の考えと違うことを言われたとしても、「そんなことは無理だよ」と否定せずに、「なるほど、そう考えているんだね」と受け入れる姿勢を持つことが大切です。その結果、相手も安心して本音を話してくれるようになります。


事業承継を進めるための具体的なヒント

私が経験を通じて感じた、事業承継を進めるためのポイントを以下にまとめます。

1. 話し合いの場をつくる

日々の忙しさの中で、事業承継について自然に話し合う機会を作るのは難しいかもしれません。そこで、家族旅行や特別な食事会など、リラックスした雰囲気の中で話を切り出すことがおすすめです。「こういう場でこそ本音が出る」ということも多いです。

2. 相手の意見を尊重し、しっかり聴く

話し合いの中で、まずは相手の意見をしっかり聴きましょう。批判や否定をせずに、「どう考えているのか」を本音で話してもらうことが大切です。その上で、自分の想いを伝えると、より建設的な話し合いにつながります。

3. 未来のビジョンを共有する

話し合いを進める中で、「会社をどうしたいか」というビジョンを共有しましょう。たとえば、「何を守り、何を変えるべきか」を明確にし、一緒に将来像を描くことで、具体的な行動につなげることができます。


まとめ

事業承継は、会社の未来を左右する大きなテーマです。しかし、すべての出発点は「対話」から始まります。

経営者として自分の考えを伝えるだけでなく、相手の意見を尊重し、しっかりと聴く姿勢を持つことが重要です。そして、お互いの想いを共有しながら、一緒に未来を考えていくことで、事業承継はよりスムーズに、そして納得のいく形で進めることができます。

「いつか話そう」と先延ばしにするのではなく、今日から少しずつ対話を始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、会社と家族の未来を明るいものにしてくれるはずです。


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投稿者プロフィール

佐藤元相
佐藤元相
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。

著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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