
こんにちは!
1位づくり戦略コンサルタントの佐藤元相です。
商品をどこで買うかを決めるのは、100%お客さまです。売る側には1%の決定権もありません。
この原則は江戸時代から今も変わっておらず、経営の大原則といえます。
「うちは良い商品を作っているから大丈夫」と思っていても、お客さまが買ってくれるわけではありません。特に、小さな会社や競争条件が不利な会社では、お客さまに不便をかけたり、対応が悪かったりすると、「あの会社から買うのはやめよう」 と思われてしまいます。
営業担当だけでなく、現場作業員・事務スタッフ・配送担当者の誰か一人の対応が悪くても、会社全体の印象が悪くなるのです。
今回は、東京都大田区にある 西尾硝子鏡工業所 の事例をもとに、「全社員営業」で業績を伸ばした成功戦略 をご紹介します。また、ランチェスター戦略の視点 を加えて、 小さな会社が大手に勝つための具体的な方法 も解説します。
目次
業界の逆風に立ち向かう!生き残るための挑戦
西尾硝子鏡工業所は、昭和7年創業、従業員23名の町工場です。
しかし、ガラス業界は右肩下がり。
西尾社長は、「20年後には、ガラス販売店はピークの1/5に減る」 と予測しました。
- 販売不振や後継者不足が大きな要因
- 仕入れ先のガラス問屋もピーク時の半分に減少
- 価格競争が激しく、利益が圧迫される
「業界全体が厳しいからうちも仕方ない」という考えでは生き残れません。
経営者は、どんな逆境の中でも利益を伸ばす戦略を考える必要があります。
そこで、西尾社長は 2つのこと に取り組みました。
1. 利益の出る仕組みをつくる
2. お客さまを増やす取り組みをする
【1】利益の出る仕組みをつくる
① 利益を圧迫する「値段の3叩き」から脱却
下請け仕事では、次のように 3回も価格を叩かれる のが当たり前でした。
- 見積もり時に値下げ交渉される
- 納品時に値下げされる
- 請求時にさらに値下げを要求される
このままでは、いくら頑張っても利益が出ません。
② 客層戦略:「選ばれる理由」を強化する
まず、特定の顧客層をターゲットにし、「なぜ西尾硝子鏡が選ばれているのか?」 を徹底的に取材しました。
すると、共通しているポイントが見えてきました。
- 報告・連絡・相談(報連相)が徹底されており、安心して仕事を任せられる
- 分離発注している会社と連携し、担当者の負担を軽減
- 緊急案件にも対応可能
- 品質が確実で、ミスが少ない
これらの 強みをさらに磨き、「選ばれる理由」を増やす ことで、価格競争に巻き込まれない仕組みを作りました。
③ 地域戦略:「30分圏内」に集中
営業エリアを 「会社から30分圏内」 に限定。
- 遠方への移動コストを削減
- 内装工事の半分がこのエリアで行われているため、市場が大きい
この戦略により、2009年のリーマンショック後、3年連続赤字だった経営が、3年目に黒字転換 しました。
【2】お客さまを増やす取り組み
① 全社員営業の導入
これまで営業は社長1人が担当していましたが、
「社長がいないと何も進まない」状態を変えるため、全社員が営業活動に関わる ことにしました。
まず、内勤の事務員と同行営業 をスタート。
年3回、顧客訪問を実施し、事務員も営業現場を知ることで 多くの改善点が見つかりました。
- 訪問先での挨拶が足りないことに気づき、社内の接客対応を改善
- 「商品を積み込むとき頼みにくい」という声に応え、作業効率を改善する看板を設置


② 女性事務員の視点を活かしたPRツール
ある日、取引先の女性担当者から 「西尾さんってどんな仕事をしているの?」 と聞かれました。
「こんなに取引しているのに、うちの仕事を知らないのか?」と衝撃を受けた西尾社長は、
女性スタッフの視点でわかりやすく説明した小冊子を作成。
250部作成し、配布 → 受注数が増加!

③ 職人と一緒に営業に行く
お客さまからのクレームは、現場の職人には伝わりにくい ことが多い。
そこで、職人と一緒に営業訪問し、クレーム対応の現場を体験してもらいました。クレーム対応してもらうことが目的ではなく、お客さまが困っている現状を理解してもらうことを考え実行しました。
結果:現場対応が改善され、クレームが減少!
また、工場見学を積極的に実施し、発注者に「職人の顔が見える」関係づくり を進めました。
当社は、2025年3月第15回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の審査員会特別賞を受賞しました
【ランチェスター戦略の視点】小さな会社が大手に勝つ方法
西尾硝子鏡工業所の取り組みは、「ランチェスター戦略」 の視点から見ても理にかなっています。
弱者の戦略:「一点集中」で勝つ
❌ 大手のように広範囲をカバーするのはNG
⭕ 営業エリアを30分圏内に集中し、密度を高める
差別化戦略:「選ばれる理由」を増やす
❌ 価格で勝負すると負ける
⭕ 「報連相」「緊急対応」「品質の確実性」を強化
小さな会社こそ「全社員営業」で勝つ!
- お客さまの不便を解消することが成功のカギ
- 営業を社長1人に任せず、全社員でお客さま対応をする
- ランチェスター戦略を活用し、「一点集中」で強みを伸ばす
これらを実践すれば、どんなに厳しい業界でも 「選ばれる会社」 になれます!
西尾硝子鏡工業所は2025年3月に「日本一大切にしたい会社」
「全社員営業」で会社を成長させたい方へ
西尾硝子鏡工業所の成功事例からもわかるように、営業は一部の人だけの仕事ではありません。内勤スタッフも含めた全社員で「選ばれる会社」を作ることが、これからの時代の生き残り戦略です。
しかし、実際には…
- 「事務スタッフに営業的な役割を持たせたいが、どうすればいいかわからない」
- 「社内で営業意識を高める仕組みを作りたい」
- 「お客さま対応を改善し、受注につなげたい」
そんな悩みを抱えている経営者・営業責任者の方に向けて、
「内勤営業育成講座」 を開催します!
この講座では、内勤スタッフの力を活かし、お客さまの満足度向上、リピート・紹介につなげるための具体的な方法を学べます。
ぜひ、この機会にあなたの会社の内勤営業の仕組みをつくりませんか?
投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。