
2025年7月23日、愛知県で木材プレカット工場を営む株式会社シンホリと、NNAが共同で、中小工務店向けの視察勉強会を開催しました。
この日は、愛知県を中心に約20名の工務店経営者や現場責任者が参加し、地元密着で注文住宅を手がける正田工建(しょうだこうけん)の現場や取り組みをじっくりと学びました。
勉強会を企画したのは、シンホリの近藤社長。「住宅着工数が減って厳しい状況だからこそ、地域の工務店が元気になってほしい」という強い思いから、自ら企画しました。
目次
徒歩圏内に3現場!驚きの「地元密着力」
視察のスタートは、正田工建の施工現場めぐりから。会社から徒歩でまわれる範囲に、なんと3つの現場が稼働していました。参加者の多くがこの事実に驚き、「この距離感で仕事が回っているのはすごい」と声を上げていました。
正田工建は、社員6名の工務店です。堺市北区のエリアに特化し、注文住宅を一棟ずつ丁寧に建てている地域密着型の工務店です。
彼らの商圏は重点で3,500世帯、最大範囲で15,000世帯。この小さなエリア内で、車で15分圏内に次々と現場が立ち上がっていく仕組みができています。この地域では圧倒的な信頼の高さがうかがえます。
これは、ランチェスター戦略でいう「弱者の地域戦略」の実践そのものです。大手と真っ向勝負せず、自社の強みを活かせる場所にしぼって戦うことで、顧客との接点回数を増やし、安定した受注を確保しているのです。
コンセプトはmamarakuda ママがラクになるおうちづくりです。
家事や育児に追われて毎日が忙しいママのために、整理収納アドバイザーの資格をもつ女性スタッフが徹底的にお客さまの暮らしをヒアリングしています。女性スタッフが考案する「こんなのあったらいいなぁ~」を、大工経験のある一級建築士の代表が今までの施工ノウハウを活かし実現しています。


一級建築士2名体制と、女性スタッフのきめ細かい対応
正田工建のもう一つの強みは、一級建築士が2名在籍していること。設計力と技術力をしっかり持ちながら、お客さまの「こんな家にしたい」という気持ちに寄り添える体制を整えています。
また、特筆すべきは女性スタッフの活躍です。お客さまとの初回面談から、次のアポイントの提案や資料送付といったやりとりを、すべて女性スタッフが対応しています。
やわらかく丁寧な接客は、お客さまとの距離を縮める大きな力になっているようです。実際、「女性のスタッフさんが話しやすかった」という感想が、お客さまアンケートでも多く寄せられているとのことでした。


専任の広報担当と、地域への「6回チラシ」作戦
今回の視察で、参加者から最も関心を集めたのは、正田工建の情報発信力です。
社員数6名の会社で、専任の広報担当者を置いており、SNSやホームページの更新、完成見学会の告知など、すべて戦略的に行われています。
また、近隣への気配りも徹底しています。工事が始まると、ご近所の方々に「お手紙風のチラシ」を6回にわけて届けています。内容は、工事のごあいさつや進捗の報告、騒音や駐車の配慮に関する案内など。
お客さまへのホウレンソウ。小さな心配りが信頼を生み、それが紹介や口コミにもつながっています。


手書きのハガキで「顔の見える関係」をつくる
正田工建では、見学会に来た方など、出会った方には必ず手書きのハガキを送っています。「手に取った相手が思わずニッコリしてくれるように」との思いを込めて、一枚ずつ丁寧に書いているそうです。
この「顔の見える」対応が、機械的な営業とは違った安心感を与え、契約への後押しになっていることは間違いありません。


3回の勉強会で70%以上の受注率
さらに驚いたのは、正田工建がお客さま向けに個別資金計画などの勉強会など、3回の勉強会を開催しています。
内容は「資金計画」をはじめ、「家づくりの進め方」「断熱や構造の話」など。最初は「ただ家を見に来た」だけだった方も、勉強会に参加する中で徐々に家づくりへの理解が深まり、「この会社なら安心だ」と思ってくれるようになるのです。
この勉強会に3回参加した方の受注率は70%を超えています。
派手な宣伝や大量の集客ではなく、一人ひとりに丁寧に説明し、信頼関係を築くことで、自然と契約へとつながっていく。正田社長の言葉を借りれば、「一人一人とちゃんと向き合うことが、いちばんの近道」だそうです。
参加者の声:今やるべきことが見えた
視察後、参加者の皆さんからは次のような感想が寄せられました。
- 「地域をしぼって仕事をしているから無理がない。うちもエリアを見直したい」
- 「女性スタッフの活躍ぶりに学ぶところがあった」
- 「広報担当がいるだけで、発信力がこんなに違うとは思わなかった」
- 「勉強会で受注率70%って…それだけ“信頼の積み上げ”が大切なんだと実感した」
皆さん口をそろえて「地道な努力が結果をつくる」と語っていました。
まとめ:地域密着+信頼構築=生き残る工務店
2024年の注文住宅着工数は、前年比で2.8%減。人口減少や法改正の影響もあり、今後も市場の縮小は続くと予想されています。こうした時代の中で中小工務店が生き残るには、「量」ではなく「質」にこだわる戦略が欠かせません。
正田工建のように、
- 小さなエリアに集中する
- 見込み客との接点を丁寧につくる
- お客さまとの信頼関係を大事にする
- 広報や情報発信を計画的に大量に行う
という戦略は、まさにランチェスター戦略でいう「弱者の情報の物量戦」です。
大手にはできない地域密着の強みを生かし、じっくりと地元のお客さまに寄り添うことで、工務店はまだまだ勝てます。
さて、今回は正田工建の戦略を徹底して学びました。現場にヒントはたくさんあります。
文責:地域密着工務店応援 佐藤元相
【協力】株式会社シンホリ/NNA/正田工建


投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。



