今回は、
「社員を育てるとは、どういうことなのか」
について考えてみたいと思います。

製造業や工務店の社長から、
「若い社員がなかなか育たない」
「もっと自信を持って仕事をしてほしい」
「言われたことはするけれど、もう少し自分から挑戦してほしい」
そんな話を聞くことがあります。
私も経営者なので、その気持ちはよく分かります。
社員を育てようと思うと、
何を教えるか。
何ができていないのか。
どこを改善してもらうか。
そんなところに目が向きます。
しかし、人を育てる方法は、それだけではないと思っています。
質問を投げかけ、その人自身が自分の成長に気づく時間をつくる。
これも大切な社員教育ではないでしょうか。

先日、長崎県対馬市にある対馬ビルサービスさま主催の話し方セミナーで、私が講師を担当させていただきました。
その研修を振り返りながら、改めてそんなことを感じました。
それでは詳しくご紹介します。
目次
テーマは「未来を描く」
対馬ビルサービスさまで行ってきた全5回の話し方セミナー。
今回が最終講でした。
第5講のテーマは、
「未来を描く」
です。
参加者の皆さんには、これまでの学びを振り返り、
2分で伝える
「変化・成長・未来の私」
という発表に取り組んでもらいました。
発表する内容は、次の3つです。
1.話し方セミナーを学ぶ前の私
2.学ぶことで得られた変化・成果
3.学びを活かして挑戦したいこと
しかし、いきなり、
「自分の成長を2分で話してください」
と言われても、なかなか言葉は出てきません。
毎日、自分自身と一緒に生活していますから、自分の変化は意外と見えにくいものです。
そこで私は、皆さんに9つの質問をしました。
自分の成長に気づく9つの質問
質問は次の9つです。
1.学ぶ前の私は?
2.一番印象に残っている出来事は?
3.学ぶ前の自分に伝えたいことは?
4.学んで変わったことは?
5.一番成長したことは?
6.これから挑戦したいことは?
7.なりたい自分は?
8.未来の自分へのメッセージは?
9.未来の自分を表す言葉は?
一つひとつの質問に対する答えを、曼荼羅シートに書いてもらいました。
最初から立派な答えを書く必要はありません。
思いついたことを書く。
過去を思い出す。
今の自分と比べる。
そして、これからの自分を考える。
そうすると少しずつ、
「そういえば、前はこんなことを考えていたな」
「これはできるようになったな」
「自分も変わってきたな」
と、自分の成長が見えてきます。

「間違えたらどうしよう」から変わった
あるスタッフは、研修を受ける前の自分について、
人前で話す時、
「間違えたらどうしよう」
と考えていたと振り返りました。
ちゃんと話せるだろうか。
失敗しないだろうか。
自分のことでいっぱいだった。
ところが研修を重ねていく中で、考えることが変わってきました。
「どうしたら、みんなが笑って聞いてくれるのかな」
「どうしたら、楽しんで聞いてくれるのかな」
と考えるようになったそうです。
私は、この変化がとても印象に残りました。
以前は、
「自分は大丈夫か」
だった。
それが、
「相手はどう感じるだろう」
へ変わっている。
同じ人前で話すという行為でも、見ているところが違います。
これは話し方が上手になったというだけではないと思います。
自分から相手へ、視野が広がっている。

私は、そこにも人の成長を感じました。
「私は逃げません」
ある中堅スタッフは、セミナーが始まった頃、
「正直、嫌だなと思っていました」
と話してくれました。
人前で話すことに不安があったそうです。
それでも、学びと練習を重ねました。
準備をすれば話せる。
やってみればできる。
そして、対馬商工会議所青年部の主張大会にも挑戦しました。
県大会では2位という結果にもつながりました。
そのスタッフが最終発表で、
「私は逃げません」
と話しました。
さらに、
「役割が来たということはチャンスだと思って、その責任を全うできる人間でありたい」
と言いました。
私はこの言葉を聞いて、本当に嬉しくなりました。
最初は、
「嫌だな」
と思っていた。
それが最後には、
「私は逃げない」
と、自分自身の言葉で未来を語っている。

人が成長するって、こういうことなんやなと思いました。
「自分はできる。やれる」と思える自分をつくる
今回の最終講で、私が何より大切にしたかったことがあります。
それは、
「自分はできる」
「自分はやれる」
と思える自分をつくることです。
研修では、
「自分で決めて、続けていることは何ですか」
ということも考えてもらいました。
資格の勉強を続けている。
毎朝、決めた時間に起きている。
自分で決めたことを続けている。
本人にとっては、
「そんなの普通です」
と思うことかもしれません。
でも、自分で決めたことを続けている。
それも、その人がすでに持っている力です。
私は、「自分、結構やれてるやん」と思ってほしい。
自分のできることに気づく。
自分の頑張りを自分で認める。

そこから、「もう一回やってみよう」という気持ちが生まれるのではないかと思っています。
変わらなくてもいい。成長すればいい
私は、「変わらなくてもいい。成長すればいい」と思っています。
人には、得意なこともあれば、苦手なこともあります。
短所を全部なくして、何でもできる人になる必要はありません。
別の誰かになる必要もない。
今の自分を否定して、新しい人間になるのではなく、
今の自分を土台にして、自分の良いところを少しずつ伸ばしていく。
社員教育も同じだと思っています。
「ここが足りない」
「これができていない」
だけを見るのではなく、
この人の良いところは何だろう。
この人は何ができるようになったのだろう。
そんな視点を持つ。
そして本人にも、その成長に気づいてもらう。
私は、そこから自信が育っていくのだと思っています。

人は質問された時に、自分について考える
今回、9つの質問を使いながら改めて感じたことがあります。
人は、「質問された時に考える
ということです。
「あなたは成長しましたね」
と言われるだけではなく、
「半年前の自分と比べて、何ができるようになった?」
と聞かれる。
すると、自分の過去を振り返ります。
「あの時はできなかったな」
「前は人前で話すのが嫌だったな」
「でも今は、前よりできるようになっているな」
と、自分自身で変化を見つけていきます。
人を育てるというと、
知識を教える。
技術を教える。
できていないところを注意する。
そんなことを考えます。
それも必要です。
しかし、
質問を投げかけ、その人が自分で答えを見つける時間をつくること。
これも、大切な教育だと私は考えています。
答えを急がせない。
すぐに正解を教えない。
問いかける。
そして、話を聴く。
その中から本人が、自分自身の答えを見つけていく。

そんな関わりも、人を育てるのではないでしょうか。
過去を振り返るのは、未来へ進むため
私は研修の中で、カーナビの話もしました。
目的地へ行くには、
まず現在地を知る必要があります。
今、どこにいるのか。
そして、どこへ行きたいのか。
人の成長も似ています。
過去を振り返る。
今の自分を知る。
そして、これからどうなりたいのかを考える。
過去を振り返ることは、後ろ向きなことではありません。
今の自分の現在地を知り、これから進む方向を見つけるために振り返る。
今回の9つの質問も、
「何が変わった?」
で終わりません。
「これから何に挑戦したい?」
「どんな自分になりたい?」
へ進んでいきます。
自分の成長に気づくと、次の未来を考えることができます。

私は、そこに振り返る意味があると思っています。
まとめ
今回、対馬ビルサービスさまの話し方セミナー最終講で、
「変化・成長・未来の私」
という2分間の発表に取り組んでもらいました。
そのために使ったのが、9つの質問です。
質問に答えながら、
過去の自分を振り返る。
今の自分を見る。
自分の成長に気づく。
そして、
これからどうなりたいのかを考える。
参加者からは、
「間違えたらどうしようと思っていた」
という言葉が、
「どうしたら相手に楽しんでもらえるだろう」
へ変わりました。
そして、「私は逃げません」という言葉まで出てきました。
私は、人を育てる上で、
本人が自分自身の成長に気づくこと
は、とても大切だと思っています。
自分のできることに気づく。
自分を少し信じられるようになる。
そして、
「次はこれをやってみたい」
という未来が見えてくる。
質問には、人の中にある答えを引き出す力があります。
教えるだけではなく、問いかける。
そして、ゆっくり話を聴く。
そんな教育も大切にしていきたいと思っています。
明日からできること

まずは、身近なスタッフ一人に聞いてみてください。
「半年前の自分と比べて、何ができるようになった?」
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
少し待つ。
ゆっくり話を聴いてみる。
もし本人が気づいていなければ、
「ここ、前よりできるようになったな」
と伝えてみる。
そして最後に、
「次は、何に挑戦したい?」
と聞いてみてください。
過去の成長に気づくことが、
未来を描く一歩につながるのではないでしょうか。
「自分はできる」と思える社員を育てる振り返りの力

次回予告
「自分で決める」から、社員は動き始める
与えられた目標から、自分の意志で動く社員へ
第2回では、
「自分はできる」という自信を持った人が、
次に、自分の未来を考え、自分で決め、自分の意志で一歩を踏み出していくことについて考えます。

社員育成について、一緒に考えてみませんか
「若い社員に、もっと自信を持ってほしい」
「社員が自分の良さに気づけるような研修をしたい」
「技術だけではなく、人としても成長できる機会をつくりたい」
そんなことを考えておられる社長や研修担当者の方へ。
私は、研修とは知識や技術を教えるだけのものではないと思っています。
一人ひとりが、
「自分はできる」
「自分はやれる」
と思えるようになること。
自分の良さに気づき、少しずつ自信を持ち、次の一歩を踏み出せるようになること。
そんな社員教育を、会社の状況に合わせて一緒に考えています。
「うちの社員には、どんな研修が合うだろう」
という段階でも構いません。
社員育成について気になっていることがあれば、お聞かせください。
研修についてのご相談はこちらから
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投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。



