今回は、
「社員の主体性は、どうすれば育つのか」

について考えてみたいと思います。
「言われたことはやる。でも、それ以上はやらない」
「何でも社長や上司に聞いてくる」
「もう少し自分で考えて動いてほしい」
製造業や工務店の社長から、そんな話を聞くことがあります。
スタッフに、「もっと自分で考えて動いてほしい」と思うことがあります。
でも、これまでずっと、「これやって」「次はこれ」「分からなかったら聞いて」
と、答えを先に渡してきたとしたら、
急に、「自分で考えて」と言われても、なかなか難しいと思うのです。
自分で考えるには、自分で決める経験が必要です。
小さなことでいい。
「あなたはどうしたい?」
「どうすればいいと思う?」
と聞いてみる。
そして、自分の考えを言葉にしてもらう。
そういう経験を少しずつ増やしていくことが、
自分から動くスタッフを育てることにつながるのではないか。
私は、そんなことを感じています。
社長が答えを出しすぎると、スタッフが考える機会を奪ってしまうこともある。
それでは詳しくご紹介します。
目次
「未来、どうなりたいですか?」
対馬ビルサービスさんの話し方研修で、
スタッフの皆さんに投げかけました。

これまでの自分。
今の自分。
そして、これからの自分。
について考えてもらいました。
具体的に、これからの自分のへ
「これから何に挑戦したいですか?」
「どんな自分になりたいですか?」
という問いを投げかけました。
すると、すぐに書ける人もいれば、
なかなか言葉が出てこない人もいました。
「難しいですね」
そんな声も聞こえてきました。

私は、その場を見ながら、「そうやな。難しいよな」と思いました。
なぜなら私たちは、意外に、「自分で未来を決めることをしてきていない」と気づきました。
私たちは「与えられた目標」には慣れている
学校に行けば、テストがあり「100点を目指しましょう」
と言われて育てられた。
運動会でリレー選手になると「1等賞を目指そう」という。
クラブ活動なら、顧問の先生から「大会で優勝だ」と言われ、会社に入れば、「今月の目標はこれ」、「今日の仕事はこれ」と、目標が与えられます。

私たちは子どもの頃から大人になっても、誰かが決めた目標に向かって頑張ることを決められてきました。
しかし、「あなた自身は、どうなりたいの?」と聞かれると、急に難しくなる。
これは主体性がないという話ではなく、自分で目的地を決める経験が少ないだけなのかもしれない。
私はそう思いました。
カーナビには「目的地」が必要です
車でどこかへ行こうと思えば、カーナビにまず目的地を入力する。
そして現在地が分かれば、そこから道案内が表示されます。
現在地からの目的地までの時間や料金も含めてはっきりと出てきます。
自分は今どこにいるのか。
そして、どこへ行きたいのか。
人生の目的地を決める。
目的地が決まれば、
「いま何をすればいいのか」
「どれくらいやればいいのか」
を考えられるようになります。

例えば、「後輩に仕事を教えられる先輩になりたい」と自分で決めたとします。
すると、「そのために、まず自分が仕事をもっと覚えよう」、「分かりやすく伝える練習をしよう」、
「後輩から質問された時に答えられるようになろう」と、次にやることが見えてきます。
行き先が決まると、「じゃあ、今は何をすればいいのか」が分かるのです。
反対に、行き先が決まっていないのに、「もっと自分から動いて」と言われても、本人からすると、
「何をしたらいいんですか?」となってしまいます。
まず、「自分はどうなりたいのか」を決める。
そこから、次の一歩が見えてくるのだと思います。
未来は自分で決めていいのです
研修の中で、私は「未来は自分で決めていいんですよ」と伝えました。
年齢も立場も関係ありません。
誰かに遠慮する必要もありません。
「こうなりたい」
「こんな仕事をしたい」
「こんな人になりたい」
まず言葉にしてみる。
今できるかどうかは、いったん横に置いていい。
未来を考える時まで、
「でも時間がないし」
「自分には無理やし」
「そんな能力ないし」
と、今の自分で制限してしまうと、未来はなかなか広がりません。
「妄想でいいのですよ」と伝えています。

私自身、移動中や一人でいる時に、「あんなことしたいな」、「こんなところへ行きたいな」
「こんな仕事ができたら面白いな」、とよく考えています。
まず未来を描く。
そして、「では何からやろうか」と現在へ戻ってくる。
私は、この順番を大切にしています。
人は「問い」を持った時に考える
私が何より大切にしているのが、考えてもらうこと」です。
「その時、どんな気持ちだった?」
「一番変わったと思った瞬間は?」
「なぜ、そうなりたいの?」
「その未来が実現したら、誰が喜ぶの?」
「まず何から始める?」
問われると人は考える。
この「考える時間」が大切なのです。
人は、問いを持った時に考えます。

ところが会社では、社員から、「社長、これどうしたらいいですか?」と聞かれた瞬間に社長が、
「それはこうしたらいい」と指示してしまう。
答えてしまう。
社長はさまざま経験があるので、答えが早いのです。
でも、それを毎回続けていると、社員は、「困ったら社長に聞けばいい」となる。
考えない社員をつくっている原因が、もしかすると社長にもあるかもしれません。
答えを教えることと、考えさせること
製造現場でも同じです。
若手が、「この加工、どうしたらいいですか?」と聞いてきら、ベテランが全部答えを教える。
もちろん最初は必要です。
しかし、いつまでもそれでは、ベテランがいなければ仕事が進まない状態になります。
そこで、「あなたはどうしたらいいと思う?」と一度聞いてみる。
工務店でも、「このお客さまには、どう対応したらいいですか?」
と聞かれたら、すぐ答えを言う前に、「あなたは、お客さまが何に困ってると思う?」と聞いてみる。
すると社員からは、間違った答えが返ってくるかもしれません。
それでもいいと思うのです。
考えて、自分の意見を出して、先輩や社長からアドバイスをもらって、もう一度考える。
この繰り返しが、自分で判断する力を育てていくのです。
人生は急にやってくる
対馬での話し方セミナーで、サポーターに急遽
「予定では次のテーマだけど、いま発表できる?」と
2分間スピーチの発表をしてもらいました。
とても良くできました。
ちゃんと準備していたのです。
私はその時、参加者に「人生は急にやってくる」という話をしました。
仕事でも、「急にお客さまから電話が入った」、「設備が止まった」、「担当者が休んだ」、「予定外の問題が起きた」、
そんなことはいくらでもあります。
そのたびに、「聞いてません」、「教えてもらっていません」、「どうすればいいのですか」では仕事になりません。
何が起きるか分からない中で、自分で考え、自分で判断し、一歩動く。

日頃から準備しておくのです。
考える経験、場数を積んでいなければ、急な出来事には対応できません。
主体性とは、勝手に動くことではない
私は、主体性とは、何でも自分勝手に判断して動くことではありません。
会社には目的があります。
仕事にはルールがあります。
安全や品質を守る必要もあります。
その中で、自分の頭で考え、自分の意見を持ち、自分で一歩を選べること。
これが職場における主体性だと考えています。

「自分はこうしたい」
「私はこう思います」
「一度やらせてください」
そんな言葉が社員から増えてきたら、
会社は変わっていく。
社長が全部決める会社から
中小企業では、社長の存在は大きいです。
社長が一番経験しており、一番考えています。
だから、社長が決めて、社長が答え、社長が指示する。
そうなりやすい。

しかし、それをずっと続ければ、社員に、「もっと自分で考えて」と言いながら、
実際には考える場面を与えていないことにもなりかねません。
社員育成とは、知識を教えることだけではありません。
自分で考える時間を渡すこと。
自分で決める経験をしてもらうこと。
これも、大切な社員教育だと思います。
まとめ
社員に、「もっと主体的に動いてほしい」
と思う気持ちはよく分かります。
しかし、その前に考えてみたいことがあります。
社員に、自分で考える機会を与えているでしょうか。
自分の意見を話せるでしょうか。
自分の未来を考える時間があるでしょうか。
そして、自分で小さな決断をする経験があるでしょうか。
今回、対馬ビルサービスのスタッフの皆さんと、
過去、現在、未来について考えながら、
改めて感じました。
自分の未来は、自分で決めていい。
自分で決めるから、
何をすればいいのかを考える。
自分で考えるから、
自分から動けるようになる。
主体性とは、そこから育っていくのではないでしょうか。
明日からできること
明日、社員さんから、
「これ、どうしたらいいですか?」
と聞かれたら、すぐに答えを教える前に、一度こう聞いてみてください。
「あなたは、どうしたらいいと思う?」
そして、少し待つ。
社員自身に考えてもらう。
答えが完璧でなくてもいい。
まず、自分の考えを言葉にしてもらう。
そこから一緒に考える。
社長が答えを一つ渡すより、社員が自分で答えを探す経験を一つ増やす。
そんな小さな関わりから始めてみてはいかがでしょうか。

次回予告
教えてもらう人から、人を育てる人へ
社員が社員を育てる会社は、どうすればつくれるのか
第3回では、話し方セミナーを通して見えてきた、
ベテランから若手への会社の歴史や文化の継承。
そして、学ぶ側だった社員が次の人を支える側へ回ることで生まれる成長について考えます。
社員育成について、一緒に考えてみませんか
若い社員に、もっと自信を持ってほしい」
「社員が自分の良さに気づけるような研修をしたい」
「技術だけではなく、人としても成長できる機会をつくりたい」
そんなことを考えておられる社長や研修担当者の方へ。
私は、研修とは知識や技術を教えるだけのものではないと思っています。
一人ひとりが、
「自分はできる」
「自分はやれる」
と思えるようになること。
自分の良さに気づき、少しずつ自信を持ち、次の一歩を踏み出せるようになること。
そんな社員教育を、会社の状況に合わせて一緒に考えています。
「うちの社員には、どんな研修が合うだろう」
という段階でも構いません。
社員育成について気になっていることがあれば、お聞かせください。
研修についてのご相談はこちらから
https://www.nna-osaka.co.jp/contactus/
投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。



