今回は、「値上げ交渉」についてお話したいと思います。
原材料費の高騰。
電気代の上昇。
人件費の増加。
物流費の値上がり。
多くの中小企業や町工場が厳しい経営環境の中にあります。
これまで多くの企業は、生産性を高める。
段取りを改善する。
ロスを減らす。
そんな企業努力で乗り切ってきました。
しかし近年のコスト上昇は、その努力だけでは吸収できないレベルになっています。
私がお会いする経営者の中にも、
「売上は変わらないのに利益が残らない」
「忙しいのに会社が楽にならない」
という声が増えています。
そんな中、「取引先へ値上げ交渉に行ってきました」
という話を聞く機会も増えてきました。

しかし私は、単なる値上げ交渉ではなく、
価値を伝える機会に変えることが大切ではないかと考えています。
それでは詳しくご紹介します。
目次
5年ぶりの値上げ交渉
先日、ある町工場の社長とお話をしていた時のことです。
社長がこう話してくれました。
「先日、取引先へ値上げ交渉に行ってきたんです」
理由を聞くと、
人件費が上がった。
電気代も上がった。
材料費も上がった。
物流費も上がっている。
これまで約5年間、価格を据え置いてきたそうです。
しかし、もう企業努力だけでは吸収できないところまで来ていた。
そこで取引先へ説明に行ったのです。
結果として、
値上げは認められました。
私はその話を聞きながら、
本当に良かったと思いました。
しかし同時に、あることも感じたのです。
その会社は本当に値上げだけを伝えたのだろうか
私は社長に聞きました。
「何を説明されたんですか?」
すると、
材料費や電気代、
人件費の上昇について丁寧に説明したということでした。
もちろん、それは必要なことです。
経営の現実ですから。
しかし私は、少しもったいないなと思ったのです。
なぜなら、その会社には、もっと伝えるべき価値があったからです。
取引先は部品を買っているのではない
私はこれまで多くの製造業を支援してきました。
その中で感じることがあります。
取引先は、図面通りの部品を買いたいわけではありません。
本当に欲しいのは、安心です。
信頼です。
安定供給です。
問題解決です。
例えば、
急なトラブルが起きた時に対応してくれる。
短納期にも応えてくれる。
不良がほとんど発生しない。
改善提案をしてくれる。
こうしたことに価値を感じています。
しかし、多くの町工場は、それを当たり前だと思っています。
だから伝えていないのです。
購買担当者も実は困っている
ここで忘れてはならないことがあります。
それは、
取引先の購買担当者も悩んでいるということです。
値上げを認めれば、
社内からコストアップだと言われる。
認めなければ、
大切な協力会社が苦しくなる。
実は担当者も板挟みなのです。
だから担当者には、
社内で説明できる材料が必要です。
「なぜ、この会社の値上げを認めたのか」
その理由を説明できる資料が必要なのです。
「資材が高騰しています」だけでは伝わらない
多くの会社は、
人件費の高騰。
エネルギー価格の上昇。
原材料費の高騰。
こうした資料を持参します。
もちろん必要です。
しかし、それだけでは、
どの会社も同じ説明になってしまいます。
すると比較されるのは価格です。
そこで必要になるのが、
差別化の見える化です。
数字にすると価値になる
例えば、
納期遵守率99.2%
緊急対応年間78件
当日回答率95%
見積回答24時間以内
どうでしょうか。
これなら担当者も説明できます。
「この会社は生産ラインを止めない会社なんです」
そう社内で伝えることができます。
改善提案は大きな価値になる
ある取引先の担当者が、
こんなことを話していました。
「部品を納品する会社はたくさんあります」
「でも改善提案をしてくれる会社は少ないんです」
私はこの言葉が忘れられません。
コストダウン提案。
工程改善提案。
不良改善提案。
これらは単なる部品供給ではありません。
取引先の利益向上に貢献しています。
つまり、
問題解決を提供しているのです。
これからは人材育成も評価される
最近、取引先が気にしていることがあります。
それは、
「この会社は5年後も大丈夫だろうか」
ということです。
後継者はいるのか。
若手は育っているのか。
技術は継承されているのか。
資格取得は進んでいるのか。
こうしたことも、
取引先選定の重要な評価項目になり始めています。
つまり、人材育成そのものが価値になっているのです。
値上げ交渉ではなく価値の再確認
取引先へ説明に行くなら、
A4一枚にまとめてみてはいかがでしょう。
タイトルは、
「我が社がお役に立てていること」
です。
納期対応。
品質。
改善提案。
人材育成。
緊急対応。
長年の取引実績。

それらを数字で整理します。
すると話は、値上げのお願いではなく、価値の再確認になります。
ランチェスター戦略で考える
ランチェスター戦略では、差別化を何より重要視しています。
差別化とは、単に他社と違うことではありません。
お客様から見て、
「なぜ、この会社に頼むのか」
という理由を明確にすることです。
だからこそ、
値上げ交渉の前に考えていただきたいことがあります。
それは、
「お客様は、なぜあなたの会社を選び続けてくれているのか?」
という問いです。
納期かもしれません。
品質かもしれません。
改善提案かもしれません。
人材育成による安定供給かもしれません。
こうした、お客様が感じている価値こそが本当の強みです。
その強みを見える化し、言葉にすることが差別化になります。
価格競争から抜け出す会社は、
「うちは何が違うのか」
を考える会社ではありません。
「お客様は、なぜ当社との取引を続けてくださっているのか」
を考える会社です。
その答えの中にこそ、これからの時代に選ばれ続ける理由があるのです。
値上げの目的は利益を増やすことではない
私は、値上げの目的は利益を増やすことだけではないと思っています。
社員の給料を守るため。
若手を採用するため。
設備投資を続けるため。
技術を次世代へつなぐため。
そして、お客様へより良い価値を提供し続けるためです。
だから値上げ交渉とは、単なる価格交渉ではありません。
未来への投資を共有する対話なのです。
まずは10個書き出してみる
もし値上げ交渉を考えているなら、まず紙を一枚用意してみてください。
そして、
「お客様は、なぜあなたの会社を選び続けてくれているのか?」
を10個書き出してみてください。
そこには、
これまで当たり前だと思っていた価値がたくさん眠っています。
値上げ交渉の前に必要なのは、価格の話ではありません。
価値の整理です。
その価値を見える化できた時、価格で比較される会社から、
価値で選ばれる会社へと変わっていくのだと思います。
まとめ
コスト高の時代だからこそ、
値上げ交渉は避けて通れません。
しかし、
単にコストアップを説明するだけでは、
価格競争から抜け出すことはできません。
大切なのは、お客様が感じている価値を見える化することです。
納期。
品質。
改善提案。
緊急対応。
人材育成。
長年の信頼。
これらはすべて価格以上の価値です。
値上げ交渉とは、「高くしてください」というお願いではありません。
これからも良い品質を守り、
良い人材を育て、
安定して供給し続けるための未来への提案です。
まずは、「お客様は、なぜあなたの会社を選び続けてくれているのか?」
を書き出してみてください。
そこに、これからの時代に選ばれる会社になるヒントが隠れているのです。
最後に
お客様は、なぜ御社との取引を続けてくださっているのでしょうか?
その理由を言葉にできた時、価格競争から抜け出すことができます。
あきない実践道場では、その価値を見つけ、伝える方法を学びます。
まずは卒業式で、その成果をご覧ください。
https://www.nna-osaka.co.jp/doujou/akinaijissen/卒業式見学・無料相談はこちら
投稿者プロフィール

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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。



