こんにちは!1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。
本日は「後継者の育成のため、休日を増やしたら生産性が向上した―岡山県新見市の上田建築工房の挑戦」というテーマでお伝えします。
岡山県新見市の上田建築工房は新見市人口26,000人のエリアに特化した地域密着の工務店で、経営理念は「一、わたしたちは心温まる住まいづくりを通して地域と共に発展します。一、わたしたちは、お互い輝ける人生の主人公となり喜びを分かち合います」と掲げられています。
2年前のことです。後継者の育成を考えて、「より働きやすい職場にしたい」と上田社長は知り合いを通じて、大学生6人を招き交流会を行いました。 生徒から当社の休日数に関する質問が起きました。
「年間休日数は何日ですか?」
「85日です」と伝えると、生徒からは「ブラックや」との声が上がりました。 彼らの声は社長に大きな衝撃を与えました。
「ショックでした!自分では地域に貢献していることや働きがいのある会社であると自信をもっていたのですが、大学生から『ブラックな会社』との今の若者の率直な意見に『これは本気でやらんとあかん!』とすぐさま幹部と話し合い取り組むこととしました。」
早速、次年度から「休日を30日増やす」ことにしました。給与は現状のまま、据え置きます。「働く人に不安を与えては意味がない!」社長の強い意志を持って決断されました。
「最初は不安もありました。一年やってみてダメならまた考えよう」と始めていきました。売り上げや利益の減少を覚悟していましたが、1年後の結果は思いもよらないものでした。
驚くべきことに、昨年と比べて利益性が向上していました。社長曰く「従業員たちが自ら考えてくれ、働き方が改善したことが大きな要因だと思います。休みの日の前日には、現場の手配や仕入れ先との打ち合わせや段取り、作業もより効率的な工程を考えてくれるようになりました。なにより、働く人たちの自主的な取り組みが増えたことが嬉しいです。」
単純に休日を30日増やすことは、売上げや利益の減少をイメージしますが、人が自ら考えて行動することで、引き算ではなく、掛け算となって、会社全体をより良い方向へと導いたことが明らかになりました。
社長は「私と社員1人ひとりが会社も自分達も良くなりたいという想いがこの結果を生みました。頭で考えてやったことはうまくいったことは少なく、心からやりたいという思いが結果を残すのですね。」と話してくれました。
ランチェスター戦略では社長が願望を持ち強く思い行動することが何より重要だと説かれています。この事例からも、会社をより良くしたいという願望と行動が未来を築くカギであることが示されました。社長と社員の明確なビジョンと行動は、企業の成長と繁栄を促進する力を持っているのです。
今日のコラムは、2023年12月11日、あきない道場卒業生の上田社長を訪問したときの対話の内容を記しました。
本日もありがとうございました。
私の経験や知識、考えが、あなたの人生に少しでも影響を与えることがあるのであればこれほど嬉しいことはありません。
お付き合いくださり、ありがとうございます。
投稿者プロフィール
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1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。
著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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