家族経営専門の広報アドバイザー NNA株式会社の永野一美です。
今年も2日間にわたり、工務店や製造業の皆さま14名にご参加いただき、「あきない田辺ツアー2025」を開催しました。
今年のツアーは、山長商店の山林・工場見学を中心に、山長の木材が使われている建築物までを視察させて頂きました。
「苗木を植える」ことから始まり、「木材として建築に使われる」までのストーリーを、実際の現場で体感できる貴重な機会となりました。
>>あきない田辺ツアー2024 山長商店視察
目次
山長商店は、どんな会社なのか？
日本で広大な山林を保有する山長商店は、和歌山県田辺市にある、創業300年以上の老舗材木店。
紀州備長炭の炭問屋として江戸時代中期に創業し、現在の会長で10代目を迎えています。
山長商店は、植林・育林・伐採・製材・プレカット加工までを一貫して手がける、国内でも希少な林業事業者です。
約6,000ヘクタールの自社山林から伐採されるのは、樹齢50年以上の紀州産スギ・ヒノキ。
粘りがあり、強度にも優れたこの木材は、多くの工務店に選ばれています。
樹齢130年以上。山長の森へ
360度見渡す限り、すべてが山長の森。
この森に苗木を植え、木が育ち、伐採する。再び森になるまでには50年以上という長い年月がかかります。
今回の見学では、その長い歳月を経て育った木が伐採され、工場へと運ばれるまでの過程を目の前で見ることができました。
山中で伐採された木は、丁寧に人の手で設置されたワイヤーに吊られ、山の斜面を下って運び出されてきます。運ばれてきた丸太は、その場で枝を落とされ、用途に応じて決まった長さに切り揃えられていきます。
ここで、最初の選別が行われます。まっすぐな木は住宅用材としての可能性を残し、曲がった木は住宅以外の用途として活用されます。
その後もさらに2度の選別を経て、最終的に住宅の柱や梁として使われるのは、なんと50年育った木の中でも、ほんのわずか。人の手と目によって、用途ごとに最も適した使い道が決められていくのです。
時代や人が移り変わっても、この森では、山長の森の文化が継承され続けているように思いました。森の「不変」の存在感、そして変わりゆく社会の中でも、ただ受け入れるように育つ木々たち。
その姿に、感動しました。
山を降りた後は、山長商店の工場へ
山で伐採された木が、製材・乾燥・プレカット加工されていく流れを工場で見学しました。
半世紀以上かけて育てられた木材が、住宅の柱・梁・化粧板として完成するまでの過程を、間近で見る機会はなかなかありません。
工場では、大型の測定機器で1本ずつ木材の「含水率」や「ヤング係数」などを計測し、数値管理しています。（※含水率＝木に含まれる水分量、ヤング係数＝木のしなやかさや強度の指標）品質の見える化です。
実際に計測されたデータを見せていただくと、山長商店の木材は基準値を大きく上回る高品質なものばかり。そして、厳しい基準をクリアした木材にだけ押されるのが、誇りの証「YAMACHO」の刻印です。
山長ブランドの木材を使った梅農家の加工場へ
ツアーの最後に訪れたのは、紀州南高梅発祥の地・みなべ町で100年以上続く農園「高田果園」さん。ここでは、梅干しの製造加工場を見学させていただきました。
多くの梅加工施設では、干し場などの建材に鉄が使われていますが、製造過程で発生する酸性ガスによって、メッキや塗装が剥がれてしまうことがあるそうです。そうした課題をクリアするため、高田果園さんでは、構造材に地元・紀州産の山長ブランド木材を採用。農業と林業の連携による、新たな価値づくりに取り組んでおられます。
内装にも、みなべの自然な風と光を活かした設計が施され、加工中の酸化を防ぐための様々な工夫が散りばめられていました。また、柱・壁・天井など建物全体の木材には撥水加工が施され、長寿命で美しさを保つ工夫もされています。
外観は、なんと“梅おにぎり”をイメージした遊び心あふれるデザイン。ひと目で印象に残る建物です。
「100年使える建物をつくる」という想いのもとに建てられたこの建築は、デザイン性・機能性・地域性が高く評価され、「紀国建築賞」や「グッドデザイン賞」など、数々の賞を受賞しています。
みなべの地で育てられた梅が、紀州材で建てられた加工場で梅干しとなる。地域資源を活かした農業と林業のコラボレーションは、「地域で育て、地域で使い、地域で誇る」そんな新しい価値観を私たちに教えてくれました。
▼高田果園様 プロモーションビデオ
■視察先
創業300年以上の老舗材木店 株式会社山長商店
和歌山県田辺市新庄町377 >>https://yamacho-net.co.jp/
紀州南高梅発祥農園 高田果園
和歌山県日高郡みなべ町晩稲849 >>https://takadakaen.jp/
投稿者プロフィール
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メンタルラボ認定講師
自己効力感を高める宝物ファイル認定講師
メルカリアンバサダー
東京都外国人おもてなしボランティア
児童養護支援協会ポーラスター認定ボランティア
出身：大阪府大阪市
趣味：上手くなりたいゴルフ・山登り
従業員30人以下の中小企業へ広報のアドバイスや支援を行う。
お客さまには、住宅会社・工務店・製造業が多い。
広報アドバイザー 永野一美
