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佐藤元相のオフィシャルブログ

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤 元相

社長の「お客さま第一」が現場に届かない理由|社員の言葉から仕事の価値を引き出す全社員営業研修

「あいつは、自分のことしか考えていない」

「後工程のことを考えたら、もう少しやり方があるやろう」

「自分の作業が終わったら、それでいいと思っている」

工場の現場で、こうした不満が出ることがあります。

加工担当者は、加工を終わらせることを考える。

検査担当者は、決められた項目を確認する。

梱包担当者は、製品を箱へ入れる。

それぞれが、自分の担当する仕事を懸命に行っています。

しかし、自分の作業だけを見ていると、前工程の事情や後工程の困りごとが見えなくなります。

全体が見えなくなる。

一緒に働く相手が見えなくなる。

そして最後には、お客さまが見えない仕事になってしまいます。

そのような状態で、

「もっと周りのことを考えなさい」

「お客さまの立場になりなさい」

と伝えても、社員は何を変えればよいのか分かりません。

私は、ここに対話が必要だと強く感じています。

働く人同士が、お互いの仕事について話す。

自分の作業が、次の人へどのようにつながっているのかを知る。

自分の仕事の意味や価値について、互いに考えを伝え合う。

こうした機会が必要です。

対話は、仲良くするためだけに行うものではありません。

自分の仕事だけを見ていた社員が、仲間の仕事やお客さまの姿を見るための大切な時間です。

今回の全社員営業研修では、社員同士のインタビューを通じて、仕事の意味と価値を深めました。

それでは詳しくご紹介します。

「何のために仕事をしていますか」

社員に、

「何のために仕事をしていますか」

と質問すると、

「お金のためです」

「生活のためです」

「家族を養うためです」

という言葉が出てきます。

確かに、どれも大切です。

働いて収入を得る。

自分の生活を守る。

大切な家族を幸せにする。

仕事をするうえで、欠かすことのできない理由です。

しかし、それだけでは何か物足りないと、私は感じるのです。

自分のお金を稼ぐために仕事をする。

自分の家族を守るために仕事をする。

それだけで、お客さまや仲間、取引先、地域の人から、心から応援してもらえる仕事になるでしょうか。

仕事は、自分と家族の生活を支えるだけではありません。

自分の仕事によって、誰かが助かる。

お客さまに喜んでもらえる。

仲間と力を合わせ、社会の役に立つ。

そこに、仕事の本来の意味と価値があるのではないでしょうか。

仕事とは、人を幸せにする活動

芳村思風先生は、職業について次のように教えてくださっています。

「職業とは人を幸せにすることによって自分も幸せになる活動である」

仕事の意味とは、「何のために、この仕事があるのか」です。

仕事の価値とは、「その仕事によって誰が助かり、何が良くなるのか」です。

自分の仕事の意味と価値が分かれば、仕事への向き合い方が変わります。

言われた作業を終わらせるだけではなく、

「次の工程の人が仕事をしやすくするには、どうすればよいか」

「お客さまにもっと安心してもらうには、何ができるか」

と考えるようになります。

仕事の意味と価値を知ることは、精神論だけではありません。

より良い仕事をするための判断基準になります。

先日ある企業で全社員営業研修を行いました。

社員インタビューの講師は、NNAスタッフの藤原紀子さんが担当しました。

全社員営業といっても、全員に商品を売ってもらう研修ではありません。

社員一人ひとりが、自分の仕事と仲間、お客さまとのつながりを理解する研修です。

研修は、ハッピーニュースから始まりました。

最近あったうれしい出来事を、グループで共有します。

研修では、何を学ぶかと同じくらい、参加者が安心して話せる状態をつくることが大切です。

笑顔が生まれると、会場の空気がやわらかくなります。

相手の話を聞く準備が整っていきました。

部署の違う社員同士でインタビューする

今回の中心は、社員同士によるインタビューです。

できるだけ部署の違う社員でペアをつくりました。

一人が10分間、相手に質問します。

もう一人は、自分の仕事や考えについて話します。

その後、役割を交代します。

対話では、次のことを大切にしました。

  • 笑顔で相手を見る
  • 相手の話を否定しない
  • 分からない言葉をそのままにしない
  • 答えを一つに決めつけない
  • 相手から学ぶ姿勢を持つ
  • 話しやすいように相づちを打つ

同じ会社で働いていても、他部署の仕事を詳しく知る機会は多くありません。

加工担当者は、検査や梱包でどのような苦労があるのかを、すべて知っているわけではありません。

検査担当者も、加工現場でどのような工夫をしているのかを、すべて知っているわけではありません。

事務担当者がお客さまからどのような相談を受けているのかも、現場には十分伝わっていないことがあります。

話を聞かなければ、相手の仕事は分かりません。

分からないままでは、自分の都合だけで相手を見てしまいます。

対話することで、相手にも事情があり、責任があり、守りたいものがあることが見えてきます。

自分の仕事を中学生にも分かる言葉で話す

研修では、自分の仕事を中学生にも分かる言葉で説明してもらいました。

社内では当たり前に使っている言葉でも、社外の人には伝わらないことがあります。

専門用語や作業名を並べるだけでは、仕事の価値までは分かりません。

相手が分からないと感じたときは、次のように質問します。

「それは、もっと分かりやすく言うと、どういうことですか」

「その仕事は、誰の役に立っていますか」

「その作業をしなかったら、誰が困りますか」

「次の工程の人は、何を必要としていますか」

質問されると、自分の仕事を違う角度から考えるようになります。

自分では当たり前だと思っていた対応や工夫が、仲間を助け、お客さまから選ばれる理由になっていることもあります。

最初に出てきた答えだけで終わらせない

インタビューでは、次のような質問を行いました。

  • この仕事に就いて何年になりますか
  • 具体的にどのような仕事をしていますか
  • なぜ、この仕事に就いたのですか
  • なぜ、この会社で働こうと決めたのですか
  • この仕事をして良かったことは何ですか
  • 大変だと感じることは何ですか
  • どのような人に向いている仕事ですか
  • 何のために働いていますか
  • これからの夢は何ですか

大切なのは、最初に出てきた答えだけで終わらせないことです。

「お金のためです」

「家族のためです」

その答えを否定する必要はありません。

もう一歩、質問を重ねます。

「あなたの仕事によって、誰が助かっていますか」

「仲間から感謝されたことは何ですか」

「お客さまから喜ばれたことは何ですか」

「この仕事をしていて、良かったと感じたのはどんなときですか」

「あなたがこの仕事をしなかったら、誰が困りますか」

質問を重ねると、その人が仕事で大切にしていることが少しずつ見えてきます。

一人で考えていると、なかなか言葉にならないことがあります。

誰かに質問されると、自分でも気づいていなかった経験や思いが出てきます。

対話には、その人の中にある仕事の意味を引き出す力があります。

作業の先にいる人を見る

社員に、

「あなたの仕事は何ですか」

と尋ねると、

「加工です」

「検査です」

「梱包です」

「電話応対です」

と答えることがあります。

間違いではありません。

しかし、それは作業の名前です。

加工した部品は、検査する人へ渡ります。

検査を終えた製品は、梱包する人へ渡ります。

梱包された製品は、お客さまへ届けられます。

仕事は、一人で完結していません。

後工程の人も、自分の仕事を受け取る大切な相手です。

さらに、その先には製品を待っているお客さまがいます。

作業の先にいる人が見えれば、

「自分の仕事が終われば、それでいい」

とは考えにくくなります。

次の人が困らないようにする。

お客さまが安心して使えるようにする。

そこまで考えて仕事をすることが、仕事の価値につながります。

「梱包すること」で終わらせない

研修の最後には、次の文章を完成させる課題を出しました。

「私の仕事は、〇〇することです」

ここに作業の名前を書くだけではありません。

例えば、

「私の仕事は、梱包することです」

で終わらせず、

「私の仕事は、お客さまへ製品を安全に届け、安心して使ってもらうことです」

と考えます。

「私の仕事は、検査することです」

で終わらせず、

「私の仕事は、品質を確認し、後工程の仲間とお客さまへ安心を届けることです」

と考えます。

「私の仕事は、電話に出ることです」

で終わらせず、

「私の仕事は、お客さまが困ったときに、安心して相談できる窓口になることです」

と考えます。

同じ作業でも、目的の捉え方が違います。

仕事の意味と価値が分かると、現場での判断が変わります。

声のかけ方も変わります。

仲間との連携も変わります。

自分の仕事に対する誇りも生まれてきます。

全社員営業とは、全員でお客さまを支えること

全社員営業は、全社員が営業マンになることではありません。

全社員が、自分の仕事を通じて仲間とお客さまを支えることです。

会社には、さまざまな仕事があります。

  • 電話を受ける
  • 見積書を作る
  • 材料を手配する
  • 加工する
  • 検査する
  • 梱包する
  • 納品する
  • 請求書を作る

すべての仕事がつながっています。

一つの工程で情報が止まれば、次の人が困ります。

一つの工程で手を抜けば、その負担は後工程へ移ります。

社内のどこかで起きた小さな行き違いが、最終的にはお客さまの不満になることもあります。

反対に、一人の社員が次の工程を考えて仕事をすれば、全体が動きやすくなります。

現場の社員が小さな異変に気づき、早めに対応すれば、お客さまの仕事を守れることがあります。

社員一人ひとりの仕事が、会社の信頼をつくっています。

対話が会社の力を一つにする

ランチェスター戦略では、小さな会社は限られた人と時間を分散させず、力を集中することが大切です。

しかし、社員がお互いの仕事を理解せず、違う方向を向いていたら、力は一つに集まりません。

社長は、お客さまのことを考えている。

営業担当者は、売上のことを考えている。

現場は、目の前の作業を終わらせることだけを考えている。

部署ごとに自分たちの都合を優先すると、会社全体の力がつながりません。

必要なのは、社長が一方的に正しい答えを伝えることだけではありません。

社員同士が、お互いの仕事の意味と価値を話し合うことです。

「私の仕事は、次の人にどのような影響を与えているのか」

「私たちは、どのようなお客さまの、どのような困りごとを解決しているのか」

この問いを、働く人たちが自分の言葉で話し合う。

その対話が、会社の目的と日々の仕事をつなぎます。

研修を行って終わりにしない

今回の研修では、インタビューをして終わりにはしませんでした。

インタビューした相手が記録した内容を、本人へ渡しました。

本人は、その内容を読み直します。

そして、自分の言葉で整理します。

最後に、

「私の仕事は、〇〇することです」

という一文にまとめます。

研修で話す。

職場へ戻って、もう一度考える。

文章にする。

人に伝える。

この流れによって、研修で得た気づきを日々の仕事へつなげます。

研修は、開催することが目的ではありません。

研修後に社員同士の関わりがどのように変わるのか。

後工程への配慮が行動に表れているか。

お客さまを見て仕事ができているか。

社長や上司が継続して確認することが大切です。

まとめ

「あいつは、自分のことしか考えていない」

現場でこの言葉が出てきたとき、本人の性格だけが問題とは限りません。

お互いの仕事を知らない。

仕事のつながりが見えていない。

自分の作業が、後工程やお客さまにどのような影響を与えるのかを話し合っていない。

そこに原因があるかもしれません。

全体が見えなくなると、相手が見えなくなります。

相手が見えなくなると、最後にはお客さまが見えない仕事になります。

仕事の意味と価値は、社長から教えられるだけで身につくものではありません。

社員同士が対話し、お互いの仕事を知り、自分の言葉で考えることが必要です。

全社員営業とは、全員に商品を売らせることではありません。

社員一人ひとりが、自分の仕事を通して仲間とお客さまを支え、会社の信頼をつくることです。

社員全員が、自分の仕事の意味と価値を語れる会社をつくる。

そのために、働く人たちとの対話が必要だと、改めて強く感じました。

今日からできる小さな一歩

まずは、社員が集まる場で、次の質問をしてみてください。

「あなたの仕事は、次の工程の人にどのような影響を与えていますか」

答えが出てきたら、もう一つ質問します。

「その仕事は、最終的にお客さまの何に役立っていますか」

社長が答えを教えるのではありません。

社員同士で話してもらいます。

自分とは違う立場の人の話を聞くことで、見えていなかった仕事のつながりが見えてきます。

ゴール設定

この研修のゴールは、全社員が次の一文を自分の言葉で話せる状態です。

「私の仕事は、仲間とつながり、〇〇なお客さまが、〇〇できるように、〇〇することです」

完成した言葉は、発表して終わりにしません。

朝礼、部署間会議、社内報、社員紹介、採用ページ、会社案内などに活用します。

さらに、実際の仕事の中で、

「後工程への配慮が増えたか」

「部署間の声かけが増えたか」

「お客さまを考えた改善が生まれたか」

を確認します。

「社員同士の不満が増えている」

「部署ごとの壁がある」

「社員が自分の作業だけを見ている」

「社長の考えが現場へ伝わらない」

このような課題がありましたら、一度ご相談ください。

NNAでは、働く人たちとの対話を通じて、社員が仕事の意味と価値に気づき、全員でお客さまを支える会社づくりをお手伝いしています。

ご相談はこちらから
https://www.nna-osaka.co.jp/contactus/


投稿者プロフィール

佐藤元相
佐藤元相
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。

著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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