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佐藤元相のオフィシャルブログ

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤 元相

粗利益を高めると、会社の未来が動き出す―ある製造業の経営計画発表会から学んだこと

今回のお話は、ある製造業の経営計画発表会で感じた「粗利益を重視する経営」についてです。

売上を増やすことだけが、経営の目的ではありません。

社員の給与を上げる。

休日を増やす。

人を育てる。

新しい設備へ投資する。

お客さまに、より良い商品とサービスを届ける。

そのために必要なのが、会社にきちんと粗利益を残すことです。

それでは詳しくご紹介します。

「良い会社ができました」

先日、ある製造業の経営計画発表会に参加しました。

発表会の少し前、社長と一緒に出かける機会がありました。

車で移動していると、夕日がとてもきれいに見えました。

その時、社長が私に話してくれました。

「佐藤さん、良い会社ができましたわ」

次の経営者が育ち、社長交代の準備が整ったという報告でした。

会社をつくった人が、次の世代へ経営を任せる。

口で言うほど簡単なことではありません。

会社の数字が良いだけでも任せられません。

経営を担う人が育ち、社員との信頼関係ができて、初めて任せることができます。

私は、その言葉を聞いて自分のことのようにうれしくなりました。

今回の経営計画発表会は、事業承継の節目でもありました。

売上は減った。しかし、会社の力は強くなった

前期は、決して追い風ばかりではありませんでした。

海外情勢の変化や、お客さまの設備投資の減少がありました。

業界全体の動きも鈍くなりました。

その影響を受け、会社の売上は前年を下回りました。

普通なら、売上の減少とともに利益も大きく減ってしまいます。

しかし、この会社は違いました。

売上の減少と比べて、利益の減少は小さく抑えられていました。

さらに、粗利益率と営業利益率は改善していたのです。

売上の数字だけを見ると、会社が小さくなったように見えます。

中身を見ると、稼ぐ力は強くなっていました。

ここが、今回の経営計画発表会で私が最も注目した点です。

売上よりも粗利益を見る

売上は大切です。

しかし、売上が大きくても、会社にお金が残らなければ経営は続きません。

忙しく働いている。

機械も動いている。

トラックも走っている。

それでも利益が残っていない。

町工場では、このようなことが起こります。

安い仕事を大量に受ければ、売上は増えます。

しかし、材料費や外注費、運送費、残業代が増えます。

現場は忙しくなるのに、会社には十分な粗利益が残りません。

「売上は上がったのに、なぜお金がないのか」

そんな状態になります。

今回の会社は、売上の大きさだけを追いかけていませんでした。

販売価格を守る。

付加価値のある仕事を増やす。

自社の強みが生きる加工に集中する。

外注した方がよい仕事は、信頼できる協力会社と連携する。

不良や手直しを減らす。

業務の無駄を減らす。

こうした取り組みを重ね、粗利益が残る会社へ変わろうとしていました。

粗利益は、社員の幸せをつくる原資です

粗利益と聞くと、経営者や経理担当者だけが見る数字だと思われるかもしれません。

しかし、本当は社員一人ひとりに関係する数字です。

粗利益から、人件費や家賃、設備費、教育費などが支払われます。

利益が残れば、新しい機械も導入できます。

社員教育にも投資できます。

昇給や賞与の原資も生まれます。

休日を増やし、働きやすい制度を整えることもできます。

この会社では、収益性を高めながら、社員の年間休日を増やしていました。

子育てを支える制度も整えていました。

利益を社長だけのものにするのではありません。

働く人と、その家族の幸せに還元する。

その考えが、経営計画の中に表れていました。

粗利益は、単なる会計上の数字ではありません。

会社に関わる人を幸せにするための原資です。

不良は、材料だけを失うのではない

発表の中では、不良や手直しについても厳しい報告がありました。

製造現場で不良が発生すると、材料が無駄になります。

作り直すための時間も必要です。

再配送が必要になることもあります。

営業担当者がお客さまへ説明し、謝罪する時間もかかります。

お客さまからの信頼を失う可能性もあります。

不良によって失うのは、材料代だけではありません。

時間、信用、粗利益を同時に失います。

粗利益が減れば、社員へ還元できる原資も減ります。

ただし、私は不良を出した人だけを責める経営には注意が必要だと思います。

人は失敗します。

大切なのは、失敗を隠さないことです。

「気をつけます」で終わらせず、原因を調べる。

作業方法を見直す。

情報を全員で共有する。

同じ失敗を繰り返さない仕組みをつくる。

責任を明確にしながら、本人の逃げ場まで奪わないことも大切です。

人を責める会社では、失敗が隠されます。

失敗から学ぶ会社では、改善が積み重なります。

社員による委員会活動が会社を強くする

今回の発表会では、経営者だけが話していたのではありません。

社員が中心となった委員会活動の発表もありました。

お客さまの声を聞く活動。

不良の原因を調べる活動。

デジタルを使って仕事を楽にする活動。

安全で健康に働ける職場をつくる活動。

地域の清掃や子どもの見守り活動。

働く人や会社の魅力を社外へ伝える活動。

職場を整理し、無駄を減らす活動。

一つひとつは、小さな改善に見えるかもしれません。

しかし、これらはすべて経営につながっています。

お客さまの声を聞けば、満足度が上がります。

不良が減れば、粗利益が残ります。

業務時間が短くなれば、お客さまと接する時間が増えます。

安全な職場になれば、社員と家族が安心できます。

会社の魅力が伝われば、採用にもつながります。

粗利益経営は、経営者と経理担当者だけではできません。

社員一人ひとりが、自分の仕事と粗利益のつながりを知ることが必要です。

経費を削る前に、無駄を見つける

粗利益を残すためには、経費の見直しも必要です。

しかし、人件費を真っ先に削る考え方には注意が必要です。

社員は単なる経費ではありません。

お客さまに価値を届ける大切な存在です。

削るべきものは、人ではなく無駄です。

探し物をしている時間。

何度も同じ内容を入力する作業。

不良による作り直し。

必要以上の在庫。

返事が遅れて失う商談。

使われていない道具や設備。

社内で止まっている情報。

こうした無駄を減らせば、生産性が上がります。

社員を疲れさせずに、粗利益を増やすことができます。

粗利益重視で見落としてはいけないこと

粗利益を重視することは大切です。

ただし、数字だけを追うと、別の問題が起こります。

お客さまへ理由を説明せずに値上げする。

利益の少ない仕事を、すべて協力会社へ押しつける。

現場へ無理な生産性向上を求める。

短期の利益を優先し、人材育成を止める。

これでは、長く続く会社にはなりません。

価格を見直すなら、品質、納期、技術、提案など、価格に見合う価値を伝える必要があります。

外注先とは、仕事を押しつける関係ではなく、共に成長する関係をつくらなければなりません。

社員の能力を高めるには、教育する時間も必要です。

粗利益を増やす目的は、誰かを苦しめることではありません。

お客さま、社員、協力会社、地域が、共に良くなる経営を続けることです。

ランチェスター戦略では、売上から考えない

ランチェスター戦略では、最初から売上を増やす方法を考えません。

まず、どの客層に集中するのかを決めます。

次に、どの商品や技術で選ばれるのかを明確にします。

そして、どの地域や分野で1位を目指すのかを決めます。

今回の会社でも、自社の強みが生きる加工分野へ集中しようとしていました。

「この加工で困ったら、あの会社へ相談しよう」

お客さまから、そのように思ってもらえる領域をつくることです。

安い仕事を何でも受けるのではありません。

自社の技術が生き、お客さまの困りごとを解決でき、適正な粗利益が残る仕事へ集中する。

これが、小さな会社の1位づくりにつながります。

社員に伝えるのは、目標額だけではない

経営計画発表会で数字を示すことは大切です。

しかし、目標額を読み上げるだけでは社員の行動は変わりません。

なぜ、その粗利益が必要なのか。

その利益を何に使うのか。

社員の暮らしに、どうつながるのか。

お客さまに、どんな価値を届けるのか。

ここまで伝える必要があります。

社員にとって、自分の仕事と会社の数字がつながった時、経営計画は社長だけの計画ではなくなります。

「不良を一件減らそう」

「見積もりの回答を早くしよう」

「お客さまの困りごとを聞こう」

「工具を元の場所へ戻そう」

日々の小さな行動が、会社の粗利益をつくっていると理解できます。

まとめ

今回の経営計画発表会から、私は次のことを学びました。

売上が増えることと、会社が強くなることは同じではありません。

大切なのは、どれだけの粗利益を残せたかです。

そして、その粗利益を何のために使うのかです。

社員と家族の幸せ。

お客さまへの価値提供。

人材育成。

設備投資。

働きやすい職場づくり。

会社の未来をつくる挑戦。

粗利益は、これらを実現するための大切な原資です。

経営計画は、数字を発表するだけの場ではありません。

社員全員が一つの方向を確認する場です。

「私たちは何のために利益を残すのか」

この問いを、経営者と社員が共に考えることが、強い会社づくりの一歩になると思います。

今日からできる小さな一歩

直近1年間の売上だけを見るのではなく、次の5つを確認してみてください。

1.粗利益はいくら残ったのか。

2.粗利益率は上がったのか、下がったのか。

3.不良、手直し、再配送で失った金額はいくらか。

4.利益を圧迫している無駄は何か。

5.自社の強みが生き、粗利益が残る仕事は何か。

最初から完璧な経営計画をつくる必要はありません。

まずは幹部や社員と一緒に、

「粗利益をあと少し増やすために、今月何を一つ改善するか」

を話し合ってみてください。

最後に


売上目標だけの経営計画から、粗利益を社員の幸せと会社の未来につなげる経営計画へ見直してみてはいかがでしょうか。

自社の強みが生きる客層、商品、地域を絞り、適正な粗利益が残る仕組みをつくりたい経営者の方は、あきない実践道場や個別相談で一緒に整理してみませんか。

数字をつくるだけではなく、社員が自分の仕事として実践できる計画へ落とし込みます。

投稿者プロフィール

佐藤元相
佐藤元相
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。

著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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