「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞を受賞されたヒグチ鋼管株式会社さんの視察セミナーを開催し、現場の空気感や経営の考え方を間近で学んできました。
10年前から本格的に「人本経営」へと舵を切ったヒグチ鋼管さんは、「社員を信じて任せる」ことを軸に、信頼関係と、自主性のある組織風土を築いてこられました。
目次
現場に流れる、明るく前向きな空気
視察の最初は、工場見学から始まりました。
工場内に一歩足を踏み入れると、まず感じたのはその温かな空気感です。
職人さんたちが笑顔で積極的に挨拶をしてくださり、その明るい雰囲気に、こちらまで自然と笑顔になりました。この「笑顔」と「挨拶」は、ヒグチ鋼管さんが大切にしている文化そのものであり、日々の積み重ねがつくり出す信頼の表れのように感じました。
また、ヒグチ鋼管さんでは、いち早くベトナムからの技能実習生の受け入れを開始し、現在では約20名の実習生の方々が活躍されています。
工場内では、声を掛け合いながら息を合わせて動く姿が印象的で、チームワークの良さが一目で伝わってきました。
その背景には、実習生たちを支える武田工場長の存在が大きいとのこと。
武田さんご自身もベトナム出身で、日本に約40年在住されています。
言葉や文化を共有できる安心感と、同じ道を歩んできた先輩としての尊敬が、実習生たちの信頼につながっているのだと思います。
実際、武田さんのひと言に、実習生たちは元気よく「はい！」と返事をし、まるで体育会系のような一体感と統率のとれたチームがそこにありました。
さらに驚いたのが、フットサルのチームを作って活動されていることです。
業務後に皆で練習を重ね、なんと昨年の大会では準優勝を果たされたそうです。
キャプテン的存在の「ニャン」さんは、試合後に悔し涙を流しながら「来年こそ絶対勝ちます」と語ったそうです。本気度が伝わってきます。
さらに驚くことに、チームのユニフォームは、実習生の方が自作されたものとのこと。この話には、思わず「すごい！」と声が出ました。
スポーツを通じて絆の強さも育まれているのだと思いました。ヒグチ鋼管さんには、こうした「人」の温かさと、「仲間」として働く一体感が、自然と根付いているのだと強く実感しました。
「任せる」からこそ育つ、社員の主体性
ヒグチ鋼管が今のような会社になったのは、社長の樋口さんが10年前に「人本経営」に出会ったことがきっかけでした。そこから、ワンマン経営をやめ、社員に任せること、信じることを徹底されてきたそうです。
驚くべきは、現在の社長は「実印のある金庫の開け方も知らない」と話されていたこと。つまり、それだけ現場の判断とリーダーに権限を任せているのです。
人を管理するのではなく、「育つ環境を整える」ことに専念されているのが伝わってきました。
仕組み化された“人を育てる土壌”
社員の主体性やモチベーションを引き出す仕組みとして、7つの委員会活動が全社員参加で運営されています。
- 3S委員会
- 社内イベント委員会
- DX推進委員会
- CS向上委員会
- ブランド価値向上委員会
- 社会貢献委員会
- 安全健康推進委員会
これらの活動が、「やらされ仕事」ではなく、「自分たちで職場をよくしていく取り組み」として行われており、社員一人ひとりの個性や才能が花開く舞台になっていることが印象的でした。
顧客対応にも“まごころ”を
同社では、「外交営業」と「内勤営業」を明確に分業し、それぞれが専門性を持って連携しています。
外交営業のスタッフは、お客さまと直接会うことに専念。
Webからの問い合わせがあれば、近隣の企業であれば即日訪問を行うなど、スピード感をもって“ご縁づくり”に動く体制が整っています。
その機動力とフットワークの軽さが、信頼関係の第一歩となり、顧客づくりの大きな武器になっていると感じました。
一方で、内勤営業のスタッフは、その外交活動を丁寧に支える存在として機能しています。
たとえば、スピーディーな見積書の作成や、日々の受発注の対応はもちろんのこと、顧客との関係性を深めるための「ハガキ活動」も内勤が中心となって取り組まれています。
このハガキ活動では、お客さまの誕生日や取引開始、クレーム（リバイズ）発生時などに、手書きのメッセージを添えたハガキを送付。
単なる事務連絡ではなく、「気にかけている」という心配りが、お客さまの心に届くき、喜びの声を頂いているそうです。
こうした外交と内勤の連携プレーがあるからこそ、会社として「お客さまに向き合う力」が何倍にもなって発揮されているのだと感じました。
ヒグチ鋼管さんでは、専務の安田さんを中心に、“人”を通してお客さまとの関係を築き、それを“仕組み”で支えていく体制がしっかりとでき上がっていました。
参加者様の感想より
視察に参加された方からは、こんな声が上がっていました。
- 「このような経営システムは初めて知り、感動した。今後に活かしていきたい。」
- 「10年前に人本経営にシフトし、社員さんを信頼し任せていくことで、自主性が育ち、現在の風土を築いてこられた事に敬服した。」
- 「笑顔いっぱいの工場、人でしかできないものづくり、情報共有の仕組み…各々の個性や才能を開花するよう種を蒔き続けてこられた結果だと思います。」
私自身の学びと気づき
工場の職人さんの方から先に挨拶してくれたこと、それも笑顔で。
とても嬉しかったです。
さらに、モチベーションを高める仕組みや、委員会活動、チームでの協力体制など、「全員の力で会社をよくしていこう！」という姿勢に深い学びがありました。
仲間を信じ、任せることで、組織はもっと強くなる。
そんなことをあらためて実感した視察でした。
この学びを現場で活かしていきたいと思います。
当日は、素敵なウェルカムボードで迎えてくださいました。
ありがとうございました。
投稿者プロフィール
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ランチェスター顧客維持戦略「内勤営業育成講座」講師
インサイド営業・内勤営業育成コンサルタント
脳科学のプログラム「メンタルラボ」認定講師
自己成長のプログラム「宝物ファイル」認定講師
出身：島根県安来市、高校時代バレーボールで国体出場
趣味：古い街並み巡り♪
大阪商工会議所各支部、組合•団体、企業にてパソコン講座の講師を5年経験。
コンテンツ制作を担当したHPがＮＣネットワークのHPコンテストで最優秀賞を受賞。
2018年より内勤者がお客様づくりの仕組みをつくり営業を支援する「内勤営業育成講座：全10回講座」を企画開講し現在も継続中。
高槻商工会議所様、大阪産業創造館様、大阪労働協会 osakaしごとフィールド様、一般社団法人 住生活リフォーム推進協会（HORP）様にて研修を担当
内勤営業育成コンサルタント 藤原 紀子
