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佐藤元相のオフィシャルブログ

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤 元相

100年続いた町工場が、次の100年をつくるために/スペースXの5つのアルゴリズムとランチェスター戦略から考える経営革新

こんにちは!
1位づくり戦略コンサルタント 佐藤です。

「社長、なんで今までのやり方を変えなあかんのですか?」
「新しい仕事を受注して、もしできなかったらどうするんですか?」
町工場の現場では、こんな声を耳にすることがあります。

私は高校を卒業してから約10年間、町工場で働いてきました。
工場には、長年かけて磨いてきた技術があります。
品質を守り、納期を守り、お客さまの要求に応えてきた経験があります。

だからこそ、これまでのやり方を変えることへの不安も分かります。

しかし、経営という視点から考えると、一つの問題があります。
これまでのやり方が、これからも通用するとは限らないということです。

今回は、ある100年企業の町工場が直面している課題と、米国の宇宙企業スペースXの製造革新を重ねながら、これからの中小製造業の経営について考えてみたいと思います。

100年続いた町工場が直面する新たな壁

ある町工場の社長と、会社の将来について考える機会がありました。
創業から100年の歴史を持つ製造業です。
長年、特定の製品をつくり続け、お客さまからの信頼を積み重ねてきました。

100年という歴史は、決して簡単につくれるものではありません。
先代、先々代、そして多くの社員の努力があったからこそ、今の会社があります。

ところが、近年、主力製品の需要が緩やかに減少しています。

一方で、人件費は上がる。電気代も上がる。工具や材料の価格も上がる。
それらをすべて販売価格に反映できるわけではありません。
従来の製品を、従来のやり方でつくり続けていても、十分な利益を確保することが難しくなってきました。

社長は、このままではいけないと考えました。
これまで培ってきた技術を活かし、新しい市場を開拓したい。
新しいお客さまの要求にも応えられる会社にしたい。
その思いから、幹部や社員に働きかける。

しかし、なかなか前に進みません。
長年会社を支えてきた幹部たちには、これまでの経験があります。

「今まで、このやり方でやってきた」
「大きな問題もなく仕事ができている」
「なぜ、今になって変えなければならないのか」

そうした思いがあるのかもしれません。

私は、この問題を単に「幹部にやる気がない」と片づけてはいけないと思います。
幹部たちは、これまで会社を支えてきた人たちです。
ただ、社長と幹部では、見ている時間軸が違うことがあります。

社長は3年先、5年先の会社を考えています。


一方、現場の幹部たちは、今日の品質、今週の納期、目の前の仕事を守ることに責任を持っています。
どちらも大切です。

しかし、今日の仕事を守ることだけでは、未来の仕事をつくることはできません。

製造現場だけでなく、営業も変わろうとしない

この会社には、もう一つ課題がありました。

営業です。
以前、新しいお客さまとの出会いを求めて展示会に出展したことがありました。

しかし、期待していた成果を得ることができませんでした。
それ以来、展示会には出展していません。

私は、この話を聞いて考えました。
成果が出なかった原因を、どこまで振り返ったのだろうか。

出会いたいお客さまは明確だったのか。
自社の技術が、どんな困りごとを解決できるのか伝えていたのか。
展示会の前に見込み客へ案内を送っていたのか。
出会ったお客さまに、その後どのような営業活動を行ったのか。

こうした取り組みを振り返らずに、「展示会は成果が出ない」と結論づけてしまえば、新しい可能性も失われてしまいます。

もちろん、展示会への再出展が正解とは限りません。

大切なのは、失敗の原因を学び、次の営業活動に活かすことです。
製造現場は、過去の成功体験にとらわれる。
営業部門は、過去の失敗体験にとらわれる。
その結果、会社全体が変化しなくなってしまう。

失敗したことが問題なのではありません。
失敗から学ばず、次の行動を変えないことが問題なのです。

お客さまの一言が、新しい市場を教えてくれる

私は、製造業の展示会を支援するなかで、新しい市場の可能性に気づく場面を見てきました。

「すみません。こんな加工はできますか?」
お客さまが図面を持って相談に来られます。

話を聞いてみると、これまで自社では考えたこともなかった用途で、自社の技術が求められていることがあります。
「なるほど。うちの技術は、こんなところでも役に立つのか」
そんな気づきが、新しい市場への入り口になります。

ところが、現場が従来のやり方だけに固執していると、新しい要求に応えられないことがあります。「そんな加工は、うちではやっていません」
その一言で、新しい可能性を閉ざしてしまうかもしれません。

もちろん、何でも引き受ければよいわけではありません。
品質、納期、採算を確認する必要があります。

しかし、最初から「できない」と決めつけるのではなく、「どうすればできるだろうか」と考えてみる。

私は、そこに中小製造業の成長の機会があると思います。

スペースXの製造革新に学ぶ5つのアルゴリズム

2026年10月25日付の日本経済新聞に、米国の宇宙企業スペースXの製造革新についての記事が掲載されていました。

そこで紹介されていたのが、イーロン・マスク氏が重視する「5つのアルゴリズム」です。
その順番は、次のとおりです。

  1. 要件を疑う。本当に必要な前提なのかを問い直す。
  2. 部品や工程を削る。不要なものをなくす。
  3. 単純化する。残した仕事を分かりやすくする。
  4. 速める。必要な仕事を短い時間で行う。
  5. 自動化する。最後に機械やシステムを活用する。

私は、この順番が重要だと感じました。

一般的に、仕事を改善しようとすると、最初に効率化や自動化を考えてしまいがちです。
新しい機械を導入する。システムを入れる。AIを活用する。

しかし、その前に考えることがあります。
「そもそも、その仕事は本当に必要なのだろうか」

必要のない工程をいくら速くしても、無駄が残ります。
必要のない仕事を自動化しても、無駄がなくなるわけではありません。

まず、今まで当たり前だと思っていたことを疑う。
本当に必要なのかを考える。
必要のないものをなくしてから、仕事を改善する。

この考え方は、町工場の製造現場だけでなく、営業活動や経営にも活かせると思います。

ランチェスター戦略との共通点と違い

私は35歳頃にランチェスター戦略と出会いました。
それまで、町工場で働き、その後、自分で事業を始め、懸命に仕事に取り組んできました。
しかし、努力することと、成果につながることは同じではありません。

小さな会社には、人も時間もお金も限りがあります。
ゆえに、どのお客さまに、どの商品で、どの地域で勝負するのかを決める必要があります。
私は、ここにランチェスター戦略の大切な原則があると考えています。

では、スペースXの5つのアルゴリズムとは、何が違うのでしょうか。

ランチェスター戦略スペースXのアルゴリズム
どのお客さまに集中するかどの要件が本当に必要か
どの商品に力を入れるかどの部品や工程を残すか
限られた経営資源を集中する無駄を削り、開発速度を上げる
小さな市場で1位を目指す製造の競争力を高める

私は、ここに共通点と違いがあると考えます。
ランチェスター戦略は、主に「何を選び、どこで戦うか」を決める考え方です。
スペースXのアルゴリズムは、主に「選んだ仕事をどう改善するか」の考え方です。

両者は同じものではありません。
しかし、組み合わせることで、中小企業にも実践しやすい改善の仕組みができると思います。

そして、そのお客さまに喜んでいただくために、仕事の進め方を見直す。
何でもできる会社を目指す必要はありません。

「この加工なら、あの会社に相談しよう」

まず、自社の強みが最も活きるお客さまと市場を選ぶ。
そう思っていただける分野をつくることです。

その分野で、お客さまから真っ先に相談される会社になる。
そこに、小さな会社の1位づくりがあるのです。

100年企業が、明日から取り組めること

では、実際に何から始めればよいのでしょうか。

私は、まず社長と幹部が一緒に、二つの問いを考えることをお勧めします。
一つ目は、「これから、どのお客さまの役に立ちたいのか」です。

これまでのお客さまだけでなく、自社の技術を必要としている新しいお客さまを考えます。
二つ目は、「そのお客さまのために、今の仕事の何を変える必要があるのか」です。

例えば、長年続けている製造工程があります。
その工程は、本当に必要なのか。
同じ確認を何度も行っていないか。
品質を守りながら、もっと簡単にできないか。

こうした問いを、現場の社員と一緒に考えます。
もちろん、安全や品質に必要な工程を安易に削ってはいけません。

そして、もう一つ大切なのは、社員が自分の仕事を疑い、改善を提案できる組織をつくることです。
「失敗したらどうするんですか?」

その不安に対して、経営者は向き合わなければなりません。
まずは小さく試す。試作する。品質と採算を確かめる。
そして、うまくいかなかったときには、原因を一緒に考える。

失敗には責任があります。

しかし、失敗した社員を逃げ場がなくなるまで責めてはいけません。

私は、経営者が責任を引き受け、社員が安心して挑戦できる環境をつくることが大切だと思います。

守るために、変える

100年続いてきた会社には、大きな財産があります。

長年培ってきた技術。
お客さまからの信頼。
困難を乗り越えてきた経験。

私は、それらを大切にしてほしいと思います。

しかし、守るべきものと、変えるべきものを混同してはいけません。

守るべきものは、お客さまからの信頼であり、培ってきた技術であり、社員とその家族の暮らしです。

それらを守るために、仕事のやり方や営業の進め方を変える必要があるのです。
私は、変化すること自体が目的ではないと考えています。

お客さまに喜ばれる。

売上と利益が生まれる。
社員とその家族が幸せになる。

新たな投資ができる。
そして、さらにお客さまの役に立つ。

この循環をつくり、続けていくことが経営だと思うのです。
100年続いてきたのは、何も変えなかったからでしょうか。

むしろ、その時代ごとの困難に向き合い、知恵を出し、工夫を重ねてきたからこそ、今日があるのではないでしょうか。

今度は、私たちがその役割を担う番です。
まずは、社内で当たり前になっている仕事を一つ選び、幹部や社員と一緒に問い直してみてはいかがでしょうか。
「この仕事は、本当に今のやり方が一番よいのだろうか?」

その小さな問いから、次の100年に向けた新しい一歩が始まるのだと思います。

会社の未来を変えたい社長へ

「会社を変えたい。でも、何から始めればよいのか分からない」
そんな経営者の課題解決に役立っているのが、私たちの「あきない実践道場」です。

ランチェスター戦略を基本に、自社の強みを見つけ、選ばれるお客さまづくりを実践します。
知識を学ぶだけではありません。仲間と共に考え、実践し、振り返りながら、自社の未来をつくっていきます。

大切なのは、学んだことを行動に変えることです。
会社の未来を変えたい経営者の皆さん。

ぜひ、あきない実践道場にご参加ください。
私たちと一緒に、次の一歩を踏み出しましょう。

1位づくり戦略コンサルタント
NNA株式会社 佐藤元相

参考:日本経済新聞 2026年10月25日
「米スペースX、倉庫から2兆ドル企業へ 製造革新貫く5つのアルゴリズム」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN141DV0U6A011C2000000/

投稿者プロフィール

佐藤元相
佐藤元相
1962年 大阪生まれ。1位づくり戦略コンサルタント。
立志立命式代表世話人。
中小企業に従事した自らの体験を踏まえ、コンサルタントとしてこれまで1300社以上の指導実績を持つ。
また豊富な現場経験から生み出された1位づくり戦略をはじめ多彩なテーマで年間100回以上のセミナーを行い、実践的かつ即効性がある好評を博している。
自ら主催する経営塾「あきない道場」には、全国からたくさんの経営者が参加。その理論を実践し短期間に多くの成功事例を生み出している。

著書には、『小さな会社★採用のルール』をはじめ、『「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社』、『小さな会社☆No.1のルール』、『小さな会社☆集客のルール』、『スゴい仕掛け』など、いずれもAmazonカテゴリーで1位を獲得している。
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