お客様のお問い合わせにアンテナを立てる!
ビジネスチャンスは「スキ間」にあります。
しかしスキ間は
大きなモノの陰に潜んでいて、
しかもカタチが小さいので、
ぼんやりしている人は気がつきません。
お客様の立場に立って、
用途や満足度などいくつかの角度から、
細かく熱心にお客様を観察している人こそ
スキ間を発見することができるのです。
とにかくわかりやすいのは
お客様からのお問い合わせです。
たとえば
「○○したいのですが、できますか?」
といったお問い合わせは
お客様の要望やお困りごとにあたります。
電話や接客中の会話中だったり、
お客様と接触するあらゆるシーンに
このような要望が出てきます。
それは、他のお店では
対応しきれなかった可能性が高く、
「どこに相談すればいいのか?」
お客様が困っている状況だと考えられます。
つまりライバル店は対応していない
スキ間の領域になっています。
「お客様のお問い合わせに
アンテナを立てる!」
儲かる商店のヒントは、
そこに潜んでいるのです。
一方で、そんなことは全く
気に掛けていないお店もありました。
私は出張先の北陸で仕事が
予定よりも少し早く終わりました。
帰りに予約していた新幹線まで
時間待ちになったので、
研修をサポートしてくれてる担当者から
「時間がすこしあるので
一緒に一杯どうですか?」
と誘われました。
駅前のビジネスホテルの1階に
地元の小さな居酒屋を見つけました。
ドアを開けると店員がカウンター越しに
「うちは17時30分から開店です」
と言いました。
のれんは外に掛かっていたし、
店の中を見ると数名の店員がいたけれど、
何をするわけでもなく
手持無沙汰にしていたので、
「17時30分と言っても
あと15分程度だし、店の中で
座らせてもらえませんか?」と言うと
店員は
「規則ですから、すいません」
と言って私たちは断られました。
仕方なく私たちは違うお店を探しました。
このお店、いままでは
これでよかったかもしれません。
しかし世の中は動いているのです。
この町は北陸新幹線の駅ができたことで、
人の動きが劇的に変わりました。
動きが速くなり、動きが速くなると
スキ間が生じやすくなります。
そこにチャンスはあるのです!
利用者はこういう商品やサービスを
受けたいと思っているのに、
それを供給するサービスやお店がないと
利用者は不満を感じます。
お客様の不満や不便を見つけ、
対応することで売り上げが上がり
利益も増えるとわかっていても、
「規則だから」とか
「決められたルールだから」といって
自分たちの都合の悪いことを、
面倒に感じ対応しないでいると、
結果として売上げが上がらないのです。
一方で、お客様不満や不便を発見し、
サービスをつくって
お客様の要求に応える!
こんなお店がありました。
お店の名前は
「彩鳥屋(いろどりや)てっちゃん」。
大阪府岸和田市で開業して
9年目の焼き鳥店です。
数軒先に大手の焼き鳥チェーン店が
ありましたが、3年前に閉店しました。
このお店は最寄駅からは
徒歩10分近くもある不利な立地にあるので
「ちょっと帰りに寄ってみようか?」と
サラリーマンがやってくるような
場所ではありません。
また駅からお店までの最短ルートは
線路沿いなのですが、街灯が少ないため
道が暗く人通りもあまりありません。
決して立地条件が良いお店ではないのです。
しかし、そうした逆境を
次々とチャンスに変えているのです。
休日のある日、私は仲間と
ゴルフの帰り道に打上げしようと、
彩鳥屋(いろどりや)てっちゃんへ
予約の連絡をしました。
この店は和歌山でゴルフをして
大阪へ戻るのにちょうど良い場所でした。
ゴルフが思っていた時間より
はやく終わったので、てっちゃんに
「予定より1時間ほど早く
到着しそうなのですが、
大丈夫ですか?」と連絡しました。
すると店主は
「ありがとうございます。大歓迎ですよ。
準備しておきます!」と言って
いつもの開店時間よりも早く
お店を開けて待っていてくれました。
しばらくすると、私たちが
食事をしているテーブルに店主がきて
「ゴルフ帰りはいつもこれくらいの
時間なのですか?」
と訊ねられました。
私は「3時過ぎにプレーが終わるのですが、
帰り道に懇親会をしようと思っても、
時間が早いせいか、開いてるお店が
ほとんどなくて困っていました。
予定より早い時間にお店を開けてくれて
ホント、助かりましたよ」と答えました。
店主は「店の仕込みもお昼頃には
ほぼ終わっているので、開店時間を
1~2時間早めたからといって
何か不都合が起きるわけではありません。
かえって早く来てくださるほうが
ボクも嬉しいです」
と笑顔で話してくれました。
私たちは開店を待つために
時間をつぶさなくてもよくなったことや、
楽しく食事ができたことが
とても嬉しかったので
「ありがとう」と言ってお店を出ました。
それからしばらく経ったある日のことです。
てっちゃんの店主は
「ゴルフ帰り等の
ちゅーと半端な時間お店開けます」
といったコピーをつくり、
フェイスブックやチラシ、
店頭看板に書いてPRしてました。
それを見た人たちの
「あそこに行ってみたら、
早い時間から営業やってるよ!」、
「あそこに聴いてみれば
対応してくれるよ」
といった口コミでお店の評判が
一気に広がりました。
差別化という点からみると、
ライバル店が活動していない時間帯に
営業活動するのが一番いいのです。
その時間の競争は
ゼロ同然になるからです。
ちょっと考えると、
これぐらいのことはお店でも、
いつでもカンタンに
実行できそうに思えますが、
なかなかできることではありません。
経営を進めていくと
お客様と接触する機会が
いくつもあります。
このとき、お客様に
どのような要望があるのか?
何に困っているのか?
などを聴いたり、観察することで
スキ間を発見することはができます。
お店側から見た経営の原則は、
お客様が来店したときに
便利と感じていただける対応を
積極的に行うことです。
そうすることで、
お客様から好かれ、
気に入られて再来店や口コミ、
紹介へと繋がっていきます。
あなたのお店はこのような
一人一人のお客様から支持されて、
結果的に繁盛店へとなるのです。