お客様に選ばれる決め手は
「ミッション」にあり
ある建築会社の社長から、次のような内容の
メールをいただいたことがあります。
先日、2組のお客さまに
ご来社いただきました。ともに構造見学会にも
来場いただいた方々で、
ひと組は子育て世代のご夫婦、
もうひと組はご年配のご夫婦です。子育て世代のご夫婦には
土地探しのお申し込み。年配のご夫婦には設計の
お申し込みをいただけました。1~2回お会いしただけなのに、
お申し込みをいただけて
ありがたい限りです。
この社長が、年齢層の異なる
2組のお客さまから信頼をいただけたのには
理由があります。
社長はどちらのお客さまにも
ご自分の「ミッション」を
お話しになったのです。
ここでいうミッションとは、
「仕事に対する自分の使命感、役割」
といった意味です。
施工例や建材、デザインなどを
ひと通り説明したうえで、
社長は最後の決め手として、
自分がなぜ家づくりに携わっているのか、
どういう気持ちで仕事をしているのかという、
ミッションをお客さまに説明しています。
家を建てようというお客さまは、
たいてい何社か、住宅会社を見て回り、
比較検討をしているものです。
家の構造や仕様などに違いはあるものの、
ある程度の水準はどこの会社でも
クリアしていることでしょう。
そこで、最後の決め手となるのは
「人」である、と私は思います。
特に東日本大震災以降は、
一般ユーザー様の間に、人との関わりを
大事にする傾向が表れています。
品質の高い商品を用意するのは
大前提として、
あとは「誰から買いたいか」で
購入先・依頼先を決めているように思います。
ミッションを伝えて最後のひと押しに
あきない実践道場の卒業生のひとりで、
外構工事や庭づくりを得意とする
エクステリア会社の2代目社長は、
もともと建築会社で
現場監督を務めていたのですが、
お父様に呼び戻されて
やむなく仕事を継いだそうです。
当時は仕事に行くのも辛かったそうですが
ミッションについて見つめ直すことで
見事に立ち直りました。
お客様には次のように
お話ししているそうです。
私は2児の父親です。
でも本当は3児の父です。2番目に生まれるはずだった子を
失いました。とても辛い思いをしましたが、
公園で遊んでいる親子連れを
見ていると、
心が癒されていきました。子どもたちのこういう笑顔を
引き出すような庭づくりが、
私の使命なのだと
思うようになりました。亡くなった子の分まで
2人の子どもを愛していきたい。
そのためには
子どもたちと一緒になって
遊べる庭が必要なんだ。そういう思いを込めて、
私は仕事に取り組んでいます。
こんなお話をお客様にしていると、
あなたの会社の見積もりは
他社より50万円も高いけど、
あなたにお願いするよ
というありがたい言葉を
いただくこともあるのだそうです。
もちろんこんな話は誰にでも
するわけではありません。
信頼関係を築くことが
できそうなお客様に対し、
最後のひと押しとしてお話しします。
共感していただければ、
「一緒に仕事に取り組もう」と
思っていただけるのではないでしょうか。