お客様の信頼を得る
安易な値引きはしない
「感謝の気持ちを態度で表す」
この意味をよく理解できない人の中には、
商品を値引きすることや
無料のプレゼントをすることが
感謝の気持ちだと考える人が
少なからず出てきます。

感謝の気持ちが値引き?
商品を値引きして安売りすれば、
確かにお客様は喜んでくれるかもしれません。
しかし、その限度を理解しておかなければ
赤字経営になり倒産してしまいます。
また、仕入先に
無理なコスト削減を要求して、
安売りに走ったところで、
よい状態で経営ができるとは
考えられません。
お店はお客様から
一定の利益をもらわない限り
経営を続けていけません。
利益に相当する金額をお客様に
値引きのカタチで返したり、
ギフトなどのモノで返していたのでは、
お店を続けることができなくなります。
先日、こんな体験をしました。
研修会場へ向かって、京都烏丸を
いつものように急ぎ足で歩いていたら、
あるスーツのショップが目に留まりました。
ちょうど
「コートが欲しいなぁ。」
と思っていたので
ディスプレイをのぞきました。
その時、足元の看板が目に入りました。
「バーゲンしないからこの価格」
と書いてあったのです。
このショップ「自信があるんだ」
と感じました。
そこで女性の店員さんに、
「なぜバーゲンしないのですか?」
と聞きました。
彼女は両手を前に揃えて
はい!この業界は
バーゲンを前提に商品の価格を
設定しています。普通の販売価格を高めに設定して
バーゲンで値引きをしても採算が
とれるようにしてあるのです。
と教えてくれました。
ですので、当店では
バーゲンは行わず、
いつでもお手頃な価格で購入
いただけるようにしているのです。もちろん商品の品質も
自信を持っておすすめできますよ。
と笑顔で話してくれました。
後日、愛知県に数店舗、お店を構える
アパレル会社で
お客様の満足度調査を行いました。
その結果を集計してみると
Aランクのお客様は
バーゲンを望んでいない
という声が多く出てきました。
数か月後、この会社でバーゲンをする店舗と
しない店舗を選び実践をしました。
(店舗規模や売上、利益が同レベルの店舗対象)
集計の結果、バーゲンをした店舗は売上は
伸びましたが、値引きの影響で
利益は伸びませんでした。
両店舗を比べてみると同じ期間の利益は、
ほとんど変わらないことがわかりました。
そこで社長は
お客様の信頼を得るために
バーゲンはしない!
と決断をしました。
バーゲンで喜ぶ人も
たくさんいることでしょう。
しかし、バーゲンでがっかりしている人も
少なからずいると思いました。
私もその一人です。
お気に入りで買ったジャケットがバーゲンで
店頭に並んでいるのを見つけた時、
「仕方ないなぁ」という気持ちと
裏切られたという感情を抱いたことは
今でも忘れられません。
「信頼を得る」と「バーゲンで安売り」 どちらを選びますか?
より良いお店にするためには
お客様も満足して、会社も健全に
成長できるという2つのことを
同時に成立させるものでなければなりません。
それにはお客様が思っていること以上の
精神的なサービスを実行するのです。
心のこもった精神的なサービスを
実行しても、特別に人件費が
多くなることもありませんから、
利益を圧迫することもなく、
双方ともうまくいくのです。
お客様の興味を知ること
大切なのは、
お客様に買ってもらった後です。
数年前に、紅茶専門店を運営する
ネットショップオーナーと出会いました。
彼は学生で起業し成功していました。
紅茶葉の商材にこだわりがあり、
キャッチコピーの作り方が上手で
売り上げを伸ばしていたのです。
彼のこだわりは、
自らインドやスリランカにおもむき
現地で紅茶葉を買い付けしていることでした。
その様子をリアルタイムでブログに
アップしていました。
彼が仕入れた紅茶葉は
「すぐに売り切れる」と評判になり、
その繁盛ぶりはネットショップの
成功事例として販促関連の雑誌や
集客ノウハウセミナーなどで
紹介されていました。
ある日、その彼と
食事をしていた時のことです。
いろいろな人が
ネットショップの集客ノウハウを
聞かせてほしいと言うのですが、
じつはそこじゃないんですよ。
と大きなリュックから
ガザガザとノートパソコンを取り出して
「じつは、これなのです。」と
1つのファイルを開きました。
『お客様の名前・連絡先・趣味・好み」と
項目があり、たくさんの文字で
埋められていました。
それは顧客情報でした。
ボク、ネットショップで
キャッチコピーや商材の絞り込みで
成功しているように
思われているけど、
それだけではないのです。初めてお客様に
買ってもらうためには、
何をすればいいのか?何度もお客様に
リピート購入してもらうためには
どうすればいいのか?いろいろな方法を試してみたんです。
そうした積み重ねの中で
一番相性が良かった方法を
今も継続しているのです。そればハガキなのです。
と話してくれました。
私は、彼がネットを
ガンガン使いこなしている印象を
強く持っていたので
「ハガキってどういうこと?」と訊くと
「仕入れで海外に出た時は、
必ず現地からお客様に
絵葉書を送っています。
一人旅で夜はたくさん時間があるから
一人一人メッセージを添えて送っています。
現地からエアメールを送ると、
お客様はとっても喜んでくれるのです。」
と話してくれました。
この紅茶専門店は、
早い段階で商品が完売します。
また紅茶の予約メールも
たくさん届いていました。
顧客の情報を集める
現場の情報を顧客一人一人個別に伝える。
売上をあげるための
安易な値引き販売やバーゲンセールは
従来のお客から信頼を失うことに
なりかねません。
また、販売価格を下げることで
お店の体力を疲弊させることにも
つながります。
では、小さなお店が
顧客の信頼を得るためには
どのようなことを行えば良いのでしょうか?
これまでの事例から学んだように
お客様の信頼を得るためには
「お客様がどのようなことに興味や関心を
持っているのかを知り対応する」ことです。
人は、自分に興味関心を示してくれる人を
好きになるのです。
不況だからといっても
人の情感は変わりません。
常にお客様の興味関心はどこにあるのかを
理解するように行動しましょう。
そうすることで、信頼関係がより強くなり
結果的に業績が良くなっていくのです。
あなたは、お客様の信頼を得るために
どのような取り組みをしていますか?