お客様に不便をかけない
「直接、接触するところ」を総点検
お店の仕事で1番大切なことは、
お客様に来店してもらって
商品を買っていただくことなのです。

たくさん来店してもらい買って欲しい!
お客様の来店数が減ると売上は下がり
お店はじり貧になっていくのです。
高い家賃を払って
ショッピングセンターや駅前などの
立地条件が良いところに出店するのは、
お客様を見つけやすいからです。
では、
「お客様の数が少ない」
「立地条件が悪い」
「強力なライバル店が近隣へ出店してきた」
などといった理由から
業績が思わしくないお店は
どのようにすればいいのでしょうか?
お客様に不便をかけない
業績を良くするには、
お客様の数を増やせばいいが、
お客様に対して商品を自分の店から
買いなさいとは言えないので、
お客様の自発性を待つしかありません。
そのために全社的にお客活動を行い、
数あるお店の中から選んでもらえるように
取り組むのです。
しかし、お客様の不便や不満を直すことと、
お客様の役に立つサービスを実行することを
同時にしようとするとうまくいきません。
二正面作戦は失敗します。
まずは、お客様に不便をかけたり、
二度手間をかけていたり、
お客様に「嫌な思い」をさせて嫌われて、
「あのお店から
商品を買うのはやめておこう。」
と思われないように
改めることの方が先になります。
とにかく初歩的に問題があるところを
先に直すことが何より大事な取り組みです。
顧客対応の第1段階
お客様と
「直接、接触するところ」
を総点検し、
「お客様に不便をかけている」
ところ、あるいはお客様に
「二度手間をかけているところ」
を見つけ出し、
これを直すところから
はじめていきましょう。
事例
埼玉県秩父市に葬儀会社
「むさしの」という会社があります。
平成11年創業で従業員55名(パート含む)。
地域には古くから農協(JA)をはじめ
多数の葬儀会社がありますが
「むさしの」は後発組でありながら
着実に地域の信頼を集めています。
その取り組みのひとつに
業務改善会議があります。
リーダーが
「お客様に不便を
かけているところはどこだ?」
と聞きました。
すると、現場スタッフから
次々と意見が出ました。
1段階
「お客様に不便を
かけているところはどこだ?」
リーダーが聞きました。
2段階
スタッフ全員で
「何ができるのか?」対策を考えました。
葬儀会場に隣接している駐車場は
収容台数が少ない。
1台あたりの駐車スペースが狭く
車が止めにくいと女性のお客様に言われた。
駐車場の収容台数が少ないのは
どうしようもない。
競合の会社は、広いスペースが
確保されているので
専任の駐車場係はいない。
私たちは選任の駐車場係がいるので、
女性ドライバーでも
車が止めやすいように、
より大きな動きで優しく車を誘導しよう。
少し離れたところにあ
る第2駐車場から葬儀会場まで
雨の日は不便
雨の日は第2駐車場の
お客様の車まで傘を持って
お迎えに行こう。
そして会場まで
「今日は大変でしたね。」
など、お客様との
コミュニケーションにつとめよう。
ドアが手動なので
車椅子のお客様だと不便だ。
手動ドアが不便なら、
お客様の動きを先読みして
私たちがドアを開けて
「お気をつけてくださいね。」
と一声かけよう。
競合会社はお茶や珈琲の
自動販売機があり、
全て無料で飲み放題になっている。
「お茶はいかがですか?」と
ドリンクメニューをもって
お客様一人一人にお声かけしよう。
以上のことを話し合って決めました。
お客様の不便を解消するため
スタッフ全員で取り組んでいったのです。
3段階
徹底した取り組みの結果
「むさしのさんに
とっても親切に
してもらった。」
「傘が嬉しかった。」
など、お客様の喜びの
声を以前よりもたくさんいただき
「評判の良い会社だ。」
と口コミが広がりました。
3段階に分けて思考する
顧客対応の第1段階は
お客様と
「直接、接するところ」を総点検し、
「お客様に不便をかけているところ」
あるいはお客様に
「二度手間をかけているところ」
を見つけ出してこれを直す。
第2段階は、お客様のお役に立つこと、
喜ばれることを考えて実行に移す。
第3段階は、これらに磨きを掛けて
顧客対応で地元No.1を
目出すことになります。
誰もが日々、
お客様の立場を体験しています。
商品を買う立場だとサービスや
店員の対応、言葉遣いなど、
自らが販売している立場以上に
敏感に感じられるものなのです。
いざ自分がお店で販売する立場になると、
顧客の立場の時ほど
敏感に感じ取れないのが事実です。
ですから私たちが
「お客様に不便を
かけているところはどこですか?」
といっても意見や考えが
それほど多く集まりません。
自分の欠点はよく分からないが
他人の欠点はよく分かります。
そこで
「あなたのお店がお客様に
不便をかけていること」
を3段階に分けて思考することで
解決の糸口を掴むことができるのです。
1.お客様の立場で思考する
「あなたがこれまで買い物をしていて
嫌だなぁと思った体験を
話してもらえませんか?」
「こんなお店には、
もう二度と行きたくないと
思った経験はありませんか?」
自らが買い物で体験したことを思い出して
意見を出し合えば、50項目くらいは
すぐに出てきます。
2.自社の立場で思考する
「私たちのお店でそのようなことは
なかったでしょうか?」と最初の質問で
出てきた項目のひとつひとつに対して
このような質問を投げかけるのです。
そうすることで、
自分たちのお店を客観的に
見直すきっかけを得ることができます。
3.お客様に不便をかけているところを
見つけて改善する
これをヒントに自社を直すのです。
お金をかけず、すぐにできることから
対応していくといいでしょう。
年に1回すれば、
現場はぐんぐん改善されます。
お客様の数を増やし
業績を良くするためには、
お客様から好かれて
気に入られる必要があります。
しかしその前に、
お客様から嫌われないようにすることが
優先です。