お客様を観察し、知る努力をする
あるパン屋のオーナーさんから
相談したいことがあると
連絡をいただきました。
お店をオープンして約20年。
アルバイトスタッフを含め4名の
パン屋のオーナーさんからでした。
繁盛店の法則を
いつも楽しく読ませて
いただいています。ところで今回ご相談
したいことがあります。私はパンが好きで
お店をはじめました。美味しいパンをつくれば
お客さんが増えていきました。それなりにやってこられたと
思っています。しかし最近になって
近所に新しくパン屋さんが
オープンしたら、たちまち
私たちの売上げや客数が
減っていきました。何をどうすればいいのか?
なにが間違っていて、
何が正しいのか?
よくわかりません。まずは『チラシをまこう』とか
『タイムサービスをはじめよう』
と考えています。アドバイスを
頂けませんでしょうか?
という内容でした。
どのようなお店でも、
売上げを上げたい!
利益が欲しいと
いつも考えています。
特に業績が悪くなってくると
あれこれ考えてしまい
本質を見失ってしまうものです。
これらのことを根本的に
解決するには「お客様づくり」
しかありません。
お客様に好かれて、
気に入られて、
喜ばれて、
忘れられない
お客様活動に
取り組むことなのです。
それには、
お客様をしっかり観察して、
お役に立てることを
本気で考え実行することが
早道になります。
中華料理店の事例
たとえばこんな事がありました。
スタッフ松島が、研修後に開催する
懇親会の会場予約の電話を
近所の中華料理店にしていたとき、
「そうなのですか?
仕方ありませんよね」と
残念そうに受話器を置きました。
私が「どうした?」と聞くと
「いつものお店は予約がいっぱいで
取れないのです」と言いました。
その後、松島は
懇親会場リストに目をやり、
予約できる店はないかと
別のお店に連絡しました。
電話の向こうのお店の担当者は
「何日までに正式な
人数が確定しますか?」
「前日の○時以降はキャンセルが料が
発生しますけどよろしいですか?」
と聞いてる様子。
そのとき、別の電話が鳴りました。
最初に予約の連絡をした
中華料理店の店長からでした。
今日はご予約の
お電話をいただいたのに、
お席をご用意できなくて
申し訳ありませんでした。今後の予定が分かれば
お席を用意することも
できますので、一度伺って、
お話できればと思いますが
いかがでしょうか?
翌日の3時、オフィスに
店長がやってきました。
テーブルにつくと店長は
「申し訳ありませんでした」
と頭を下げ
もし先の研修の日程の
分かるところで、
懇親会の予約を入れる
予定があるのであれば
伺ってもよろしいですか?
と言うのです。
松島が
今後の予定は
まだまだ先のことなので
人数もはっきりしていません。
もう少しはっきりしてから
と言うと、店長は
いいですよ。
まだ予定の段階でも大丈夫です。
また当日になって
予約いただいた人数よりも
少なくなっても
キャンセル料はいりません。
と言いました。
以前、急に体調が悪くなり
懇親会をキャンセルしたい、
という方がいらっしゃいました。
懇親会開始の1時間前でした。
あわてて松島がお店へ
連絡をしたところ店長は
「大丈夫ですよ。
お客様に楽しんで
食事をしてもらいたいので
心配はいりませんよ」
と電話の向こうで
嫌なそぶりを感じさせる
こともなく松島に言いました。
また別の日のことです。
2日続けて研修があり
懇親会でこのお店を
予約したことがありました。
すると前日に店長から
「同じ方が2度来られるといけないので
メニューを変えておきますね」と
わざわざ確認の連絡がありました。
これまでいろんなお店で
懇親会を開催したけれど、
これほどしっかり対応してくれる
お店はありません。
大勢での宴会があった翌日には
「挨拶に来ました」と
お礼にゴマ団子のお土産を
持ってきてくれました。
価格で訴求して集客を
促すお店はたくさんあります。
しかし割引といった安易な
やり方をするのではなく、
お客様を観察して、
お客様ことを知り、
どうすればお役に立てるかを
考え対応するお店は少数派です。
私は松島に懇親会の予定がある
数ヶ月先まで予約を入れるように
指示しました。
私たちがこのお店を選ぶ理由が
ここにあるのです。
この中華料理店では
大阪天神橋筋商店街の中にあります。
ここは南北2.6kmの日本一長い
アーケードの商店街で
様々な業態の小さなお店が
約600店舗も集積しています。
天神橋筋商店街を歩いていると、
お店のシャッターが降りていたかと思うと、
次の日には改装工事がはじまり、
また新たなお店がオープンします。
もちろん、この中華料理店のように
ずっと繁盛しているお店もあります。
老舗であっても、
名店だと言われていたお店でも
お客様から選ばれなければ、
お店は淘汰されて、
新たな店舗へと
入れ替わっていくのです。
お客様を観察して、
お客様のことを知る努力をする。
そしてどんなことで
お役に立てるかを考えることから
はじめていくといいでしょう。
フラワーショップの事例
先日取材したフラワーショップの
ことをお話ししましょう。
大阪難波の
フラワーサロンオサムさんは
「難波 花屋」のキーワードに絞り
インターネットで
新規の顧客を作っています。
またさらに、You Tubeやブログ、
インスタグラムなどを使って
積極的に情報を発信しています。
客層の中心は男性だと言います。
店長のオサムさんは
普通、お花屋さんの
店長は女性でしょう。
店長のボクが男なので、
男性の気持ちが分かるので
差別化できると思いました
と話してくれました。
男性客はお花を買いに
来ているのではなく、
贈り物を探しに
来ている人が多い。
そこで
「カワイイ」をコンセプトに
お花を組み合わせた
贈り物を考えました。
今や「カワイイ」=世界共通語
アメリカのフラワーショップの
サイトを参考にプリザーブドフラワーを
抱えたクマのぬいぐるみを
企画として掲載しました。
ネット検索広告に出稿している
お店も少ないのと、
自分で動画を撮って投稿を
はじめたことが共感をえられたようで
男性客の来店数が増えました。
ある男性が
「クマでなくイヌのぬいぐるみは
ないですか?」と質問をしてきました。
聞いてみると彼女の飼ってるペットが
イヌだからという理由でした。
またある男性客は
「ネコのぬいぐるみはありませんか?」
と聞いてきたと言います。
オサムさんは、
「女性は自分好みのモノを
プレゼントに選び、
男性は相手の好みのモノを
プレゼントに選ぶ傾向が強い」
といいます。
「ペット・ぬいぐるみシリーズ」を
強化するとヒット商品となりました。
経営の本質はお客様中心です。
お客様に選ばれるためには
「お客様のことを観察し、
お客様のことをしる努力」を
全力で行わなければなりません。
これはお店が生存し続けるために
必要不可欠な絶対条件なのです。